番外編 スカバンburn!! またな、“ワイルド・ワン” (6/7)
「…達兄が…よく言っとった」
またしばらくして慶太郎が独り言のように呟いた
「…“現実を受け入れるのが強さや”って。ありのままを受け入れて、逆らったりせえへん。…達兄はほんま強かった。達兄は“俺なんかじゃなくてもっと上を目指せ”って言うけど、やっぱり俺は尊敬してる。……だから…俺も強くありたい。……でも…」
だんだん声がかすれ、慶太郎は歯を食いしばった。その表情に力が入る。
「………そっか……、…もう…達兄は…おらんのか…。…もう……ドラム…教えて…もらえない…んやな……」
慶太郎が泣いた。
『あいつがちっさい時に、一緒に映画見とってさ、登場人物が亡くなった時に、突然泣き出してん。だから、“現実は受け入れるのが男や”って、笑って言ってやってん。冗談のつもりやってんけどな、あいつは、しっかりうなずいてた。それから、ずっとそれを突き通してる。慶太郎はずっと強い。俺なんかよりもな』
「慶太郎…自分の弱さに向き合えるのも強さや。今はあいつが死んで悲しい…それでええねん。自分が死んで泣いてもらえなかったら、達也も寂しいやろ?」
俺の言葉で慶太郎は声をあげて泣き出した。
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