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七日七晩の慟哭2

[420]  伯修佳  2006-08-22投稿
だが何度か手に意識を集中させているうちに、ほんのわずかだが指が動いた。
「これは…。キース、もう筋肉が自発的に動かせるようです」
「心拍数も異常なし。脳波も安定している。そろそろ覚醒するだろう」
感嘆を隠せない男の態度にあくまでキースと呼ばれた女は素っ気ない。一方傍観者で主観者の『彼女』は、自分の行動に周囲が反応した事に戸惑いを覚えていた。
―何だ、この展開は。
そんな疑問などおかまいなしにキースはふと自嘲気味に笑い、『彼女』に近づいてその冷たい頬に触れた。
「おまえに名前を付けてやろう。これから始まる創造と破壊に相応しい名を。なぜならおまえは―」
彼女の意識は、そこで途切れた。

全く別の場所別の時間、薄暗い部屋の中でパソコンの画面を睨み付けながら青年が呟いている。
「だが‘それ’は一体どこにあるんだ?」

樹内菜那(きうちなな)はイライラしながら見慣れた通学路を歩いていた。春から初夏に向かう穏やかな季節、陽光の降り注ぐ街路樹の緑が目に眩しい。鼻歌の一つでも出そうな放課後だというのに、なぜ今日に限って五度も、しかも同じ場所への道を聞かれるのだろう。

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