携帯小説!(PC版)

smell

[268]  ざっと  2010-03-27投稿
ひどくクリアなノイズを聴いた。

心を洗うノイズ

厳密には心に染み渡るノイズ

雑音、noise


1.

3月の下旬
僕はやっと義務教育という檻から解放された

よくよく考えるとゾッとするような時間が経過していた
9年間

それはたかだか15年程度しか生きてない僕にとってはとても長い時間だった

でも僕は本当に解放された訳ではない
法律的に義務教育を終えた
ただそれだけの事

僕の思う解放には程
遠い解放だ


人と人が密集する場には必ずと言っていいほど
派閥ができる

それは僕が一年間を過ごした3年2組にも
この小さな島国日本にも
いえることだ

派閥がある以上はどこかに属したい
僕はそう考えずには居られない

中には勿論群れるのを嫌う
人間だって少なからずいる

だけど僕は孤独に耐えられるほどタフな人間ではない


だがときに現実は厳しい

僕は何処にも属せず
ふわふわしていた

やんちゃなグループに入れず

オタクみたいな奴らがグループにも入れない

僕はそんな中途半端な奴だった

こんな日々にピリオドを打てたのはとても嬉しい事だった
ひたすらに
ひたすらに


「綾也よかったね」

母が卒業式を終えて自宅へ迎う車中で呟く

彼女は僕の苦しみを理解してくれる
数少ない人物の一人だ

「あぁ、うん」

素っ気ない返事が僕のくちから流れでる
それはごくごく自然に
無意識のうちに発したと言っても過言ではない


「でもさ、まだ高校があるよ」
淡々とそんな事をいう
この女はいつも晴れやかな気分のときに
要らない事を言う

「うん、そうだね」

さっきとは対照的に今度は意図して素っ気ない返事を返してやった

そこからはそう永くない沈黙が続いた

車内ではFMラジオが流れ
だみ声のDJと若手アイドルが
くだらない話しを延々と続けている

母とぼくの沈黙は破られることなく家に着いた


まだ気分の悪かった僕は気分転換のために外に出る

同級生と鉢合わせになるのもしんどいので
二駅離れた街へいく事にした


たった二駅なのでそこまで交通費もかからない
時間もかからない

二駅はなれた駅
柿沢駅に降り立った

このまちで僕はあのノイズを聞くことになる

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