海賊と鬼使い 16
(あぁ…眠れん…)
フウリはベッドの上でゴロンゴロンと数回寝返りをしたあと、ガバッと起き上がった。
そのままそっと船室を出ると、見張り台に登った。
(『フウリ、早く寝よと言っておろう。』)
遠い昔の声がよみがえる。
(『ははうえ…でも、ねむくないのです。』)
困ったように言って母の隣に座り込む。
(『全く鬼使いの才なんてものも困り物じゃの』)
母は溜め息をつくと、静かに言った。
(『のう、フウリ。そなたには以前話したな。月のお話じゃ。』)
(『月のお姫さまのお話ですか?』)
(『そうじゃ。あの話には歌がついておる。今夜はそなたが眠れるよう、歌ってしんぜよう』)
静かに歌い出した母の声はまだよく覚えている。
フウリは『月の歌』を静かに口ずさみ始めた。
歌ってくれた母はもういない。
フウリは胸がギュッと締め付けられるような感じがした。
美しい、強い人だった。
フウリはうとうととまどろみ始めた。最初に母が歌ってくれた時も、すぐに眠ってしまったものだった。
フウリは見張り台を降りると、フラフラと船室に戻った。
さっき甲板を歩いていたのは、ラウトだったか。こんな夜中にどこにいくんだろ…
ほとんど寝ぼけていたフウリは特に気に止めず、眠ってしまった。
フウリはベッドの上でゴロンゴロンと数回寝返りをしたあと、ガバッと起き上がった。
そのままそっと船室を出ると、見張り台に登った。
(『フウリ、早く寝よと言っておろう。』)
遠い昔の声がよみがえる。
(『ははうえ…でも、ねむくないのです。』)
困ったように言って母の隣に座り込む。
(『全く鬼使いの才なんてものも困り物じゃの』)
母は溜め息をつくと、静かに言った。
(『のう、フウリ。そなたには以前話したな。月のお話じゃ。』)
(『月のお姫さまのお話ですか?』)
(『そうじゃ。あの話には歌がついておる。今夜はそなたが眠れるよう、歌ってしんぜよう』)
静かに歌い出した母の声はまだよく覚えている。
フウリは『月の歌』を静かに口ずさみ始めた。
歌ってくれた母はもういない。
フウリは胸がギュッと締め付けられるような感じがした。
美しい、強い人だった。
フウリはうとうととまどろみ始めた。最初に母が歌ってくれた時も、すぐに眠ってしまったものだった。
フウリは見張り台を降りると、フラフラと船室に戻った。
さっき甲板を歩いていたのは、ラウトだったか。こんな夜中にどこにいくんだろ…
ほとんど寝ぼけていたフウリは特に気に止めず、眠ってしまった。
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