里村が女子との話が終わった直後、俺は里村を捕まえて事情を聞いた。
すると先程の女子はプロレス部のマネージャーで、来週にある試合に助っ人として里村に出てほしいとか。
でも里村はプロレスなんて興味が一切ないため、何度も断っていたらしい。
「なんだよ･･････悩んでた俺が馬鹿みたいじゃないか」
「スマンスマン。まさかお前が知ってるとは思わなくてな」
「まぁ済んだ事だから良いけど」
そんな事を話しながら俺らはまたファミレスへと向かった。

流石にこう毎日来てたら店員に顔覚えられてそうで恐いな。
「見てみろ寺田。あの子Ｄは確実にあるぜ？」
･･････一生目が見えなくしてやろうか？

作戦会議と言っても、もう会議をしなくても各々が長所を伸ばすだけなのだが、まぁこの日の成果のようなものを発表し合い、その後は適当に喋っていると耳元で声が聞こえた。
「･･････お前を殺してやる」
何とも恐ろしい声色でしょう。一刻も早く帰りたい気分です。
「何やってんの奏？って！あんた達何でこんな所にいるの！？」
あの恐怖の声を恐れながら後ろを振り向くとそこには杉宮姉妹がいた。
「あれ？お前らこそ何で？」
「今日両親が家にいないから適当に――」
「――両親が家にいないだって！？それは誘っているのですか姐さん！？」
「誰があんた何か誘うか！」
バキッと、良い音を出した杉宮の蹴りにより里村はダウンした。
「まぁそれで晩御飯作るのが面倒だから･･････その･･････」
「･･････結局は楓がサボりたかっただけ」
「なっ！それじゃああんたも何か作れるようになりなさいよ！」
「･･････面倒」
だから姉妹喧嘩は家でやってほしいもんだ。
「あ、そうだ。ここ相席しても良い？」
「ん？別に良いけど？」
「そう、それじゃあ失礼して――って！奏！何であんたが春之の隣に座るのよ！」
「･･････春之の隣が良い」
「里村デカいんだからあんたが丁度良いでしょ！」
「･･････やだ」
杉宮はそう言って俺の服の袖を軽く握ってきた。
「はぁ、もう良いわ。あんた絶対折れないだろうし」
そう言いながら杉宮は渋々里村の隣に座った。
「姐さん、きつくないでしょうか？」
「あんたがその気持ち悪い喋り方を止めてくれたら大丈夫よ」
メニューを広げながら適当に里村をあしらい、店員を呼ぶ。
「すみません。ハヤシライス一つ、それと･･････」
「･･････お子様ランチ」

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