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永遠になるまで待ちましょう(Prologue)

[281]  あずき  2010-04-01投稿
『永遠になるまで待ちましょう』

...Prologue
(伯爵が狂うまで)

滑り落ちる針。
彼女はもう待てない、と言った。

今羽を美しく広げて、飛び立とうとしている。
それを引き留めようと私はもがいた。

「頼むからここへいてくれ」

"私にはもう気力も情熱もない。君を利用したりはしないから"
と。
それに対する返答はとても簡潔。

「いやです」

ただ一言。

美しい彼女の背中に生えた美しい羽は、ますます美しく広がる。炎が燃え上がるように。

「私の天使、お願いだ。頼むから行かないでくれ...」

お願いだ。

捜し物があって地上(ここ)へ来たという彼女。
燃え上がる羽。
悪魔のような容姿。

私は彼女に心底惚れ込んだ。
彼女の目的が私ではないとしても。

逃がしたりしない。

天上の天使。

人ではない彼女。

「さようなら、伯爵」

窓から乗り出そうとする彼女。

その羽に私は躊躇いなく銃口を向けた。
そう。引き留めるためならばどんな手段も厭わない...



―かくして、天使の羽は手折られる。

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