ユニゾンハーツ 19−3
その日は何事もなく過ぎていった。
朝食も姫野のことがあったせいか食欲がないという者が多く、朝と昼は食べたい者が適当にレトルトやインスタント食品を漁った。
昼過ぎになり、裕也と柚姫はいったん部屋に戻っていた。
僕と楠本姉妹、他の者はほぼ全員が食堂で過ごしていた。
僕とヒビキは、姫野ことを考えていた。
達也
(いったいどうやって姫野を運び出したんだろ……)
ヒビキ
(ペンションを確認した時、ドアと窓のカギは掛かっていたしやっぱり……抜け道かな?)
結局、考えれば考えるほどに抜け道の存在が浮き上がってくる。
やっぱりこの建物のどこかに抜け道があるのだろうか?
達也
(もう一度、探してみるか…)
そう思うと僕は立ち上がって、食堂を出ようとしたときだった。
琴葉
「どこ行くの?」
振り返るとそこには琴音が仁王立ちして立っていた。
達也
「いや……ちょっと散歩に」
琴葉
「……うそ」
達也
「うっ………」
咄嗟に出たウソとはいえ、もう少しマシなウソは浮かばなかったものだろうか…。
琴葉
「で……本当は何しに行くの?」
達也
「もう一度、抜け道がないか調べに行くんだよ」
僕は、そう小声で言うと琴葉は少し考え込んでこう言った。
琴葉
「なら私も行く。
他の人には見えないからね、影付きの人は」
達也
「琴音は、いいの?」
琴葉
「食堂にいれば大丈夫だと思うしなにより、今は休ませてあげたいから」
そういえば姫野さんの死体を一番に見つけたの、琴音だったけ……。
そう思うと琴葉の言うことも判る気がした。
達也
「わかった、じゃあ一緒に行こうか」
僕は、琴葉にそう告げると食堂を後にした。
琴葉
「で……まず、どこを探す?」
達也
「うーん、そうだな……。
とりあえず、探してないところとか?」
琴葉
「探してない場所たって、姫野さんを探したときに……」
達也
「判ってる。
ま、任しといてよ」
そう言うと僕はある場所へと向かった。
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