僕と和子と敬太郎 第十話
とにかくこの状況から脱しないと、と思った僕は「お賽銭入れてお参りしようぜ」と、二人を促し社へと向かった。
敬太郎と和ちゃんを並ばせて、僕は体半分後ろに下がり、和ちゃんの隣を歩いていた。社に繋がる短い階段に足を掛けた時、和ちゃんが段差に躓き前方に転びそうになった。咄嗟に僕は彼女の体を斜め後ろから抱きかかえる様に受け止めた。反射的に敬太郎に目が行ってしまったが、案の定(この野郎!)という目で僕を睨みつけていた。
ふと彼女に目をやると、色白の顔がピンク色に染まり、次第にその濃さが増して行くのが分かった。それを見た敬太郎は更に不愉快そうな顔をした。と、次の瞬間、僕は体が物凄い勢いで上方に引っ張られて行く感覚を覚えた。まるで逆バンジージャンプの如く、みるみる地上から遠ざかり、このまま宇宙の果てまで飛んで行くのではないかと思った。
ある瞬間ピタッとそれが止まり、慌てて自分の体を見回してみた所、自分の体のパーツを確認する事は出来なかった。周りを見渡したが、何も無かった。小さい頃、宇宙の果てには壁があって、それを越えると何も無い世界が広がっている、なんて事を想像したが、もしかしたらこんな感じなのかもしれない。そこは物質的に全く何も無い『無の世界』だった。
僕は一体どうなったんだろう。死んだのか?とにかく、僕という肉体的な存在は消えてしまったようだ、でも意識はある。言い換えれば、意識だけの存在になってしまったという事なのか。いわゆる『魂』だけの存在に…。
敬太郎と和ちゃんを並ばせて、僕は体半分後ろに下がり、和ちゃんの隣を歩いていた。社に繋がる短い階段に足を掛けた時、和ちゃんが段差に躓き前方に転びそうになった。咄嗟に僕は彼女の体を斜め後ろから抱きかかえる様に受け止めた。反射的に敬太郎に目が行ってしまったが、案の定(この野郎!)という目で僕を睨みつけていた。
ふと彼女に目をやると、色白の顔がピンク色に染まり、次第にその濃さが増して行くのが分かった。それを見た敬太郎は更に不愉快そうな顔をした。と、次の瞬間、僕は体が物凄い勢いで上方に引っ張られて行く感覚を覚えた。まるで逆バンジージャンプの如く、みるみる地上から遠ざかり、このまま宇宙の果てまで飛んで行くのではないかと思った。
ある瞬間ピタッとそれが止まり、慌てて自分の体を見回してみた所、自分の体のパーツを確認する事は出来なかった。周りを見渡したが、何も無かった。小さい頃、宇宙の果てには壁があって、それを越えると何も無い世界が広がっている、なんて事を想像したが、もしかしたらこんな感じなのかもしれない。そこは物質的に全く何も無い『無の世界』だった。
僕は一体どうなったんだろう。死んだのか?とにかく、僕という肉体的な存在は消えてしまったようだ、でも意識はある。言い換えれば、意識だけの存在になってしまったという事なのか。いわゆる『魂』だけの存在に…。
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