天使のすむ湖21 岬の回復
俺は岬が入院してから、岬に約束したように毎日見舞いに行っていた。
その後ひどいことだとは思うが、もちろん香里の家に夜遅くまで毎日通った。二人に何が出来るか答えは見つからないまま、二人のことを好きだという事実と、太陽と月のように一樹にはなくてはならない存在になっていたのだった。どちらか一つなんて選べなくなっていて、その上で決めたこと、それを話そうと一樹は岬の見舞いに訪れた。
十月もなかばになり、朝晩の空気がひんやりと感じられるようになっていた。
俺が病室の白い扉を開けると、岬はなぜかきれいに化粧をし着替えをして待っていた。入院生活にはふさわしくない、ピンクのワンピースで髪をとかしている最中だった。
「今日は着替えてどうしたの?岬にいいことでもあったのかな?」
岬は満面の笑みで微笑むと、ブラシをおいた。そして、せっけんのほのかな匂いがしていた。
「やだー忘れたの?一樹の誕生日じゃないーせめて自分くらいはきれいにして会いたかったのよ。」
そんなことはすっかり忘れていた。二人のことで頭がいっぱいだったのだ。
バースデーらしく、売店に売っていた三角の小さなショートケーキとブドウのジュースが用意されていた。
「十七歳の誕生日おめでとう一樹ー」
俺はなんだかくすぐったい気がして、照れてしまったが、覚えてくれていたのが嬉しかった。
「ありがとう、嬉しいよ。」
岬の細やかな心遣いが嬉しくて、俺は太陽のように皆を照らす岬がまぶしく見えた。
もっと驚いたのは、岬がケーキを食べ始めたことだった。
「食べられるようになったのか?」
「うん、少しずつなら大丈夫になったのよ。このまま良くなれば来週には退院できるって先生が言ってたの。」
何かをふっきったような岬が、俺には輝いて、
「なんだかきれいになったなー」
「ありがとう、」
頬を赤く染めて、今日はなんだか岬が別人のようになっていた。
その後ひどいことだとは思うが、もちろん香里の家に夜遅くまで毎日通った。二人に何が出来るか答えは見つからないまま、二人のことを好きだという事実と、太陽と月のように一樹にはなくてはならない存在になっていたのだった。どちらか一つなんて選べなくなっていて、その上で決めたこと、それを話そうと一樹は岬の見舞いに訪れた。
十月もなかばになり、朝晩の空気がひんやりと感じられるようになっていた。
俺が病室の白い扉を開けると、岬はなぜかきれいに化粧をし着替えをして待っていた。入院生活にはふさわしくない、ピンクのワンピースで髪をとかしている最中だった。
「今日は着替えてどうしたの?岬にいいことでもあったのかな?」
岬は満面の笑みで微笑むと、ブラシをおいた。そして、せっけんのほのかな匂いがしていた。
「やだー忘れたの?一樹の誕生日じゃないーせめて自分くらいはきれいにして会いたかったのよ。」
そんなことはすっかり忘れていた。二人のことで頭がいっぱいだったのだ。
バースデーらしく、売店に売っていた三角の小さなショートケーキとブドウのジュースが用意されていた。
「十七歳の誕生日おめでとう一樹ー」
俺はなんだかくすぐったい気がして、照れてしまったが、覚えてくれていたのが嬉しかった。
「ありがとう、嬉しいよ。」
岬の細やかな心遣いが嬉しくて、俺は太陽のように皆を照らす岬がまぶしく見えた。
もっと驚いたのは、岬がケーキを食べ始めたことだった。
「食べられるようになったのか?」
「うん、少しずつなら大丈夫になったのよ。このまま良くなれば来週には退院できるって先生が言ってたの。」
何かをふっきったような岬が、俺には輝いて、
「なんだかきれいになったなー」
「ありがとう、」
頬を赤く染めて、今日はなんだか岬が別人のようになっていた。
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