alone 29=すまないな=
自神の陣に戻ってから、水鶴は自室にて ずっと呆けていた。
「水鶴様…」
「一人にしてくれるか?…柊」
「了解しまし…た」
自身の心配を無下にされたことを一切気にかけず、圭は低頭し部屋を去ろうとした。
「柊…」
ふいに水鶴に声をかけられ、圭は振り返る。
「はい?」
「すまないな…気にかけてくれるのに」
「…!!」
圭は驚いた。
感謝の意も謝罪の意も、普段 発することの滅多に無い水鶴が、部下である己に「すまない」と言ったのだから。
「俺に謝らないで下さ…い。俺はただの…手下。あなたの…下僕」
「…あぁ、わかっている」
「…では失礼しま…す」
圭は去った。
同時に、水鶴は自室のベッドに倒れ込むようにして、仰向けに寝転がった。
「何故だ…」
消え入りそうな小さな声で、水鶴は呟いた。
「何故…お前は私の心を読むような言葉ばかり投げかけるんだ、晶…」
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