言えないバイバイ 3話(全10話)
そうして月日は流れて気づいたら、毎日1日に1度は『ゆきぃー!!!』って呼ぶ声が響くようになった。
毎日、顔をあわせれば、
「今日の服、変」
「あぁ?!」
「嘘やって。似合ってる」
とか、
「この曲良くない?」
「えー全然。それよりこの歌、良くない?」
「えー趣味悪っ」
とか、そんなやりとりが待っている。
いっつもへこんでばっかのあいつでも、たまに、
「成績下がったあ…」
とか言ってへこむうちを
「大丈夫やって!」
って励ましたりする。
根拠ないくせに
「小さいことで悩むな!ゆき!あはは」
お前が言うな!
「…こうたのくせに。」
「え?」
「何でもないー!」
なんか頼りないし、バカっぽいし、弱そうやし、彼氏にはしたくないタイプ。
でも、あいつのバカっぽさはまわりを元気にすると、私はひそかに思ってる。
そんなある日
「ゆきって、こうた君が好きなん?」
「は?」
まさか。んな訳ないやろ
「だっていっつも励ましてるやん」
「それはあいつが弱っちぃからで…」
「弱い〜?彼、結構頼りになるやん」
あいつが?
「この前も荷物運んでたら手伝ってくれたよー!結構男らしいと思ったもん」
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