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alone 36=戦場以外に=

[365]  兼古 朝知  2010-04-06投稿


――キィ…

「!」

水鶴は目を丸くした。

開けた扉の先に、己の部下、圭がじっと ひざまずいて待っていたからだ。

「寝入っていらしたのです…か?」

「柊…いつから?」

水鶴は圭の質問に質問を返した。

「…ずっとその状態で待っていたのか?」

「はい」

圭は即答する。

「何時間だ?私はどれくらい部屋にいた?」

「三時間ほどで…す」

「自分の部屋に帰っていればよかったものを」

「申し訳ありま…せん。しかし俺は水鶴様の手下…下僕です…から」

圭は 膝をついたまま答える。

「ご苦労なことだ…。いくぞ」

「どこ…へ?」

圭が問うと、水鶴は くるりと向き直った。

「…戦場以外にどこがある?」

そう言った水鶴の表情は、どこか悲しそうだった。
圭はその表情を見て切なくなった。胸のどこかが痛くなるのを感じる。

「……申し訳…ありま…せん…」

「謝るな、柊」

「…」

「行くぞ」

「承知しまし…た」

二人は戦場に赴いた。


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