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海賊と鬼使い 22

[301]  ホオズキ  2010-04-07投稿
少女は光にそっと触れた。そしてゆっくりと語りだした。


昔々、あるところにリディとリリィという姉妹がいました。
この姉妹は両親を病で亡くしていました。
ある日、貧しい生活のせいで姉のリディが病に倒れ、リリィの看病もむなしく死んでしまいました。
リリィは両親や姉のような人を助けるために医術の勉強を始めました。
才能はすぐに開花し、9才の若さで島一番の名医と呼ばれるようになりました。
妹が心配で成仏できずにいたリディも大層喜びました。
しかし、この姉妹を全く助けなかった村人達がリリィをこきつかい始めたのです。朝から晩まで怪我の手当てをしたり、薬を作らされたリリィはやがて体調を崩しはじめます。
衰弱したリリィを村人達は助けません。
あまりの事態に腹をたてたリディはリリィを闇の空間に連れ去り眠りにつかせたのです。
以来、リディは村人達への復讐もかね、リリィの回復に子供を使うようになりました。
おしまい。

少女の手の中の光は人の形になり、少女になった。
『もう私は…必要ない』
リディはフウリ達の方を振り返った。
『あなた達にお願いがあるの。この子を…リリィを、一緒に連れて行って』
消え入りそうな声で言ったリディは体が透き通り始めている。
急がなければ、とフウリはカイルの方を振り返った。
「カイル…」
カイルはニヤッと笑うと言った。
「うちの船にちょうど医者が足りないんだ。もちろん、大歓迎だぜ!!なっお前達?」
皆、やれやれというように頷く。
「どうせ、言っても聞かないしな。」
「そうそう。」
ギアンとロアが言った。
フウリはホッとすると、リリィに歩み寄った。
頭に手をかざすと、リリィがフッと目を開けた。
「…お姉ちゃん?」
リディそっくりの金色の目が姉の姿をとらえた。
『リリィ…この人達の力になってあげてね。私はもう逝くわ。』
目をパチパチさせてフウリ達を見る。
現状を把握したようにハッと息をのむ。
『お姉ちゃんの最後のお願い、聞いてね。』
「…はい」
賢い子だ、とフウリは思った。
リディはフッと微笑むと消えて行った。
「さようなら、お姉ちゃん…」




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