alone 41=どうかしてるよ=
まもなく約束の1週間が経とうとしていた。
「晶、調子は?」
「ん、もーバッチリ!!」
夕が尋ねると、晶はニッと笑って答えた。
(ホントは…まだ治ってないくせに…)
夕は、そう言おうとした自分の口を塞いだ。
「晶…何度も言うけど、無理は禁物だからね?」
「おうッ!!」
明日、晶は水鶴と生死を懸けた戦いをする。
(そんな人間に無理はするなだなんて…どうかしてるよ、あたし)
夕は自分に嘲笑した。
己を嘲笑うのは、今日で二度目だ。
「夕?どした?」
「ううん、何でもない」
ニコリと笑って夕は首を振った。
その表情がどこか寂しそうだったのに晶は気づいたが、それについては何も言わなかった。
「晶…」
「ん?やっぱ何かあるのかよ?」
「…うん。変な夢、見たんだけど…」
夕は神妙な顔つきで晶に言った。
「へぇ?どんな?」
俺が死んだりすんのか?と、晶は冗談っぽく笑った。
「夢の話だから…あんまり気にすることないと思うんだけど」
「うんうん、まぁとりあえず言ってみ?」
晶は話を聞く体勢になった。昔から、晶は真面目に相談事や悩み事を打ち明けるときは真剣に聞いてくれる。
その為、思い出したくもない悪夢の話さえ話しやすく感じられた。
夕は、鮮明に浮かんできた あの光景を思い出しながら説明した。
父が母が、今現在 生きている知り合いがみんな首を落として死んだこと、
手を伸ばしてくれた晶が砂になって消えたこと、
ミツルと名乗った少女の容姿が何となく中村水鶴に似ていること、
そして少女の言葉…。
晶は ただ黙って聞いていた。
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