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僕とご主人様の物語1

[567]  矢口 沙緒  2010-04-10投稿


美咲ちゃんと
さりいちゃんの
2010年の
クリスマスのために…

そして、私のファン
だと言ってくださった
黒猫さんのために…





僕とご主人様の物語



わんわん!
朝です。
とてもいい天気です。
僕は今、大きな運河に沿って作られた素敵な遊歩道で、ご主人様を尻尾を振りながら待っています。
朝のちょっとひんやりとした爽やかな風が、僕の鼻に優しく触れながら流れていきます。
遊歩道一杯に溢れたお日様の光が、ミナモにこぼれ落ちて反射し、キラキラと黄金色のラメを散りばめたようで、とても綺麗です。
河に掛かった立派な橋の下に、僕のご主人様のお家はあります。
お洒落なブルーのシートで囲われたお家から、今ご主人様が出てきました。
これから二人で朝のお散歩です。
僕のご主人様は人間のお婆ちゃんで、とっても優しいんです。
僕がまだ産まれてすぐの頃、やっと目が開きかけた頃、僕は
『誰か拾ってください』
と書かれた段ボールのお家にいました。
ひとりぼっちだったし、まだ目もよく見えないし、そのうち雨もぽつぽつ降ってきて、すごく心細かったんです。
そんな時ご主人様が通りかかり、僕を抱き上げてこう言ってくれたんです。
「私と一緒に暮らしてみますか?」
その笑顔がとても優しかったので、僕はすぐに短い尻尾を振って
わん!
と答えたんです。
それ以来、僕とご主人様は三年以上一緒に暮らしています。
僕の犬種は雑種っていうんです。
ハーフやクォーターみたいで、ちょっとカッコいいでしょ。
それから僕にはご主人様からいただいた
『ワンちゃん』
という立派な名前もあるんです。
これも僕の自慢のひとつなんです。
さぁ、ご主人様と一緒に朝のお散歩です。
こうして僕とご主人様との新しい一日が、今日も始まります。



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