alone 46=届かない声=
「お前もしかしてッ…」
晶が言いかけたときだった。
――タンッ
晶の後方から銃弾が飛び、水鶴の左頬を掠めた。
水鶴の頬に赤い線が入り、微量ながら血が流れる。
「な…!?」
突然の事に戸惑いつつ、晶が銃弾の軌道を目線で辿ると、銃器や刃物を携えた、大勢の皆神宗信者がいた。
「晶君ッ、大丈夫か!?」
「中村と柊がいるぞ!!」
「撃て!!撃ち殺せ!!」
信者たちが辺りにわめき散らし、より多くの皆神宗信者が集まる。
「水鶴様、殺(や)ってもよろしい…ので?」
圭が水鶴に駆け寄り、耳打ちするかのように話しかける。
「あぁ…殺(や)れ」
水鶴は何事もなかったかのように頬の血を拭い、冷酷な目つきで言った。
「ま、待ってくれよ!!おっちゃんたちも、水鶴も圭も!!」
晶の訴えも虚しく…。
――パララララッ!!
皆神の兵は機関銃を放った。瞬間、機関銃を持っていた兵の両腕が、圭によって音も無く斬り落とされた。
水鶴は軽く左に避け、その弾丸を受けることはなかった。
「晶君、我々がこいつらに今まで何人殺したと思ってる!?甘い考えは捨てなさい!」
皆神の兵の一人が言う。
「山口…晶。これは正当防衛…だ。残念ながら交渉不成立だ…な」
顔や服を敵の血で濡らす圭が言った。
「ぐあぁぁあ!!」
「死ねぇえ自神の狂信者が!!」
「やめッ、助ッけ…!!」
「う゛ぁああああ!!」
辺りで、喧騒と断末魔がこだまする。
晶は、呆然とその光景を見ていた。
「やめろよ…」
呟く、晶。
――ドドドドッ!!
――ザクッ!!
――ドシュッ、グシャ!!
「やめろ…」
晶の声は…
誰にも届かない。
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