夏の記憶
60年前の今
僕たちにあったものは
ただただ続く
空腹と
真っ赤な空と
真っ黒な大地と
微かな希望ですら生み出そうとしない
絶望だった
あそこは僕の家
あそこは僕の学校
あそこは毎日放課後行って
遊んだ川
真っ赤に燃える炎に包まれて
何もない
あれは僕のお母さん
お父さん
お姉ちゃん
皆皆もういない
反発すら許されずに
ただただ戦った
生きる事が戦う人にとって
罪だった時代
敵は
海を越えてやってきた人たちだけでは
もはや無かったのだ
何も無くなった
何も出来なくなった
負けた
あんなにも犠牲をはらった
この国
繰り返してはいけない
二度と起こしてはいけない
60年前の夏
あの夏だけは
忘れてはいけない
夏
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