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瑠海とショール?

[306]  萩原実衣  2010-04-12投稿
(本島に戻っちゃうんだ…。)
じっちゃんは、黙って聞いていた。
「お父さん…。私がここにいても何だか…歯車が合わないっていうか、私の居場所じゃないんだなって…。」

「清海…お前は、この瑠海の母親じゃぁ。瑠海を守る義務がある。それだけは、決して忘れるな。」
「瑠海、いつまでも困った時は訪ねてきてね」

「うっうん…」

その日、学校から帰って来ると、あの人は、いなかった。

寂しかった。

そして、僕とじっちゃんは、いつもの生活に戻った。

「ピ〜!ショール!」

「クウィ!」

「ショール!君のお気に入りのあの遊び場に連れて行って」

僕は、ショールの背中に乗ってお腹をさするとショールは、あの洞窟の前まで連れて行ってくれた。

そして、僕は、思いっきり深呼吸をした。
ショールは、一気に海の中の洞窟を進んだ。

「やっぱりキレイな所だね。」

僕は、陸に上がってショールが…遊んでいるのを見ていた。

その時、別のイルカが来たんだ。
きっと、ショールの友達の中の一頭なんだ。

光が差し込み海面が揺れ様々な色を作り出す中で游ぐショールと仲間の姿は、絵のようでとてもキレイだった。

「ショール楽しそうだね」

僕と遊んでいる時とは、違った。

じっちゃんが言っていた事を思い出した…。

(イルカには、イルカの世界がある。瑠海お前は、ショールを独りぼっちにさせておくのか…。)
僕もショールもかあちゃんと一緒にいられない。でも、僕にはじっちゃんがいる。

ショールには…。

いない。

帰ってから…僕は考えた。たくさん考えた。


朝になって、じっちゃんに話をした。

「じっちゃん…ショールお友達が出来たみたいなんだ。僕、ショールと離れたくないんだけど…。ショールは、仲間と一緒にいるほうが幸せなんだよね?」

「あぁ…」

「僕、ショールにちゃんとさよなら言えるかな?ショール僕の事忘れちゃうかなぁ?」

「ショールは、頭の良いイルカだ。瑠海の事を忘れたりせんよ」

僕は、たくさん泣いた。じっちゃんは、ずっと頭を撫でていてくれたんだ。

次の日曜日に僕は、ショールとお別れをする事にしたんだ。

僕がショールに最後に出来るプレゼントなんだ。
日曜日が来た。

空は清みきった青空で海の中までよく見えた。

僕は、朝からショールとたくさんたくさん遊んだ。

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