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天使のすむ湖25

[278]  雪美  2006-08-23投稿
翌日、俺と母さんと岬と三人でタクシーに乗り込み香里の自宅に行くことになった。タクシーは山を奥へ奥へと進んでいてた。
母は、どんな人なのか見て確かめたいと言うのだが、俺は見ても今の状態じゃ反応もろくに無いのだからわからないだろうと思っていた。
香里宅のアーチ状の門をくぐると、白い大きな洋館が見えて、
母は目を丸くして
「ここって噂のお化け屋敷じゃないの?」
と言った。俺は呆れ顔で、
「母さんまでそんなくだらない噂を信じてるのかよー」
答えたが
「あんたお化けに取り付かれたんじゃないの?」
まだ信じていなかった。それもそのはずで、さっきまで晴れていたはずが、急に白く濃い霧が立ち込めた。この辺りは山だから、天候が変わりやすいだけなのだが、霧の中に建つこの洋館は確かに不気味に見えた。
「違うって言ってるのにー」
チャイムを鳴らすと、白い大きな扉をキヨさんが開けてくれた。母はまだ信用しないらしく、まじまじとキヨさんを眺めていた。
「中へどうぞ、まずはお部屋に案内します。」
三人は後ろに続き、赤いじゅうたん敷き詰めた廊下を歩き、二階に続く階段を上って香里の寝室に通された。
中では香里が、窓の外をぼんやりと眺めて動こうともしていない、どこを見つめているのか、目線はと泳いでいて、焦点が合わないようだった。
「こんにちは、一樹の母です。」
と名乗るが、無表情のまま振り向きもしないので、母は香里の目線へ回り、もう一度挨拶をしてみたが、やはり反応は返ってこなかった。
「これが香里さんなの?」
岬は香里の変わり果てて言葉も出ない姿に驚きを隠せない様子だった。
「いろいろあって、今は話すことも表情さえもろくに出なくなったんだ。今精神的病気で脳腫瘍に加えて治療中なんだ。」
俺は説明したが、母は理解できない様子で、人の親を馬鹿にしていると怒っていた。

一階ではキヨさんがリビングにコーヒーを用意してくれた。このリビングからは湖がいつもは鮮やかに見えるのだが、今日は霧が深くてかすんで見えていた。



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