チンゲンサイ。<37>
* * * * * *
タクシーで家の前に着くと、ユキエが玄関先で出迎えてくれ、
俺とユウの腫れた顔を見ると、驚いた様子だったが、
何も聞かずに、黙って傷の手当てをしてくれた。
『ぷっ‥‥‥。
2人揃って顔腫らして‥‥‥‥。』
先に俺よりひどい、ユウの顔の傷の手当てをしながら、ユキエが言った。
消毒液が傷口にしみるのか、しかめっ面をしているユウに、
ユキエが優しく手当てをしている。
さっき、ユキエに向かって、水の入ったコップを投げつけ、
テーブルの上のカレーを床にぶちまけた事を反省しているのか、
ユウは、その間、ずっとうつむいたまま無言だった。
『ユキエ。
明日、パートを少し遅れて出勤してくれないか?
付き合ってもらいたい場所がある。
それと、ユウは学校を休ませるからな。』
『‥‥付き合ってもらいたい場所‥‥‥???』
俺の言葉に、ユキエは何かを考えている様に見えたが、
もしかしたら、俺の考えを察したのか、
意外にも、すぐに了解してくれたので助かった。
『ユウ。母さんに何か言う事は無いか!?』
すでに俺は、ユウとラーメン屋での話し合いで和解していたはずだが、
さっきのユウの、ユキエに対しての態度が父親として許せなかった俺は、
自分の母親に対して吐いた暴言について反省させ、謝らせる事にした。
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