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天使のすむ湖26

[334]  雪美  2006-08-23投稿
キヨさんが腰掛けて、 話し始めた。
「香里お嬢様の小さな頃から、乳母として雇われてずっと共にしてきましたが、お生まれになって三歳にはお母様を亡くされ、旦那様と私と三人でずっと過ごしてきました。画家として旦那様は有名人ですから、家を空けることも多く、私がいないときには一人きりで過ごしていたんです。旦那様はしつけに厳しい方で、香里お嬢様の帰宅時間を遠くからでも必ず電話で調べたり、学生時代は送り迎えは全て私がしてきました。お友達づきあいもほとんど出来なかったんじゃないでしょうかね。」
当時を思い出して、キヨさんは切なそうにしていた。
「旦那様は香里お嬢様が二十歳のときに亡くなられ、その時の旦那様の遺言があって、それからここの主であった葛巻正明様と結婚されたのです。それから、正明様はほとんど家にはいなくて、絵にしか興味を示さない方でいつも香里お嬢様一人で留守番がほとんどでした。二年前に正明様も心臓発作でお亡くなりになり、今はこの私と、二人きりになってしまいました。脳腫瘍を告知されて余命が長くは無いことを知ってからは、ぼんやり元気の無い日が続いてました。だけど、一樹様に出会われて、以前のような元気さを取り戻してきたところでしたのに・・・また、以前よりももっとひどくなってしまって、今は無表情のままなんです。私にはどうしていいのか、わからないんです。」
キヨさんも悩んでいた。元気を取り戻していたはずの香里を再び深く傷つけてしまったのだから、正常ではいられなくなったのだろうとれた。
「嘘言ってるんじゃないでしょうねー」
母はまだ疑っていた。
「嘘じゃありません、なんなら主治医をここへお呼びして説明を受けましょうか?」
キヨさんが返すと、母は
「そうまで言うなら信じましょう。でも一樹をなんで誘惑したのかわからないのよ、何で息子なのかしら?」
ようやく信じたようだが、香里との事は納得行かない様子だった。
「それは、お嬢様はは以前から死ぬ前にせめて恋がしたいと言ってました。一樹様のような美少年が以前からお好みでしたから、配達に来た一樹様に一目ぼれされたのですよ。でも、私はまた別の見方をしてるんです。人は死ぬときに看取ってほしい人を選んで亡くなると、聞いたことがあります。本当の意味は看取ってほしい人に引き合わされたのではないかと、思うんです。」

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