執着心
三年間付き合った彼女と別れた。
理由は彼女の異常なまでの束縛だ。
やっと解放されたと思ったのに、最近長年の心労からか体調が優れない。
別れても尚、俺を苦しめるなんて、本当とんでもない女だ。
別れた当初はストーカーになるかと思ったが、意外とすんなりと別れを受け入れてくれた。
4月の始め、俺は仕事中突然胸が苦しくなり、病院に運ばれた。
これと言った異常は無く、原因不明。ストレスによるものだろうと、その日のうちに帰された。
それからと言うもの、俺は度々倒れ、倒れる毎に胸の痛みは強くなっていった。
ある日、家に帰ると郵便ポストに大判の封筒が入っていた。少し重みのあるそれを部屋で開けて驚愕した。
自分の顔写真の貼付けられた藁人形。胸には五寸釘が打ち付けられていた。
それから一枚の紙に『お前が死ぬまで許さない』と。
誰の仕業かすぐ分かった俺は、彼女に電話をしたが繋がらない。
どうしても文句を言いたかった俺は、彼女の親友に連絡を付け事情を説明した。
するとその子は微妙な間の後「彼女あなたと別れてすぐ自殺したのよ」と。
全身に鳥肌が立った。そこまで俺を憎んでいたのか…。
それからは、家に居ても仕事していても彼女の怨念が俺に纏わり付いているような感じがして、ろくに睡眠も食事も取れなくなった。
それでとうとう本気で体を壊し入院するはめになり、仕事も辞めた。全てを失い、長期の入院に嫌気がさした頃、一人の見舞客が現れた。
彼女だった。
驚く俺を尻目に彼女は笑顔で言った。
「友達に嘘付いて貰ったの。私は生きてるのよ。どう?全てを失った気分は?ねぇ、もう頼れるのは私だけでしょ?ねっ?ねっ?」
狂っている。
俺は彼女が分からない。体力も気力も限界だ。
どうする事も出来ない俺を看病しに彼女はやってくる。毎日毎日。明日も明後日も。
もはや病院では彼女は献身的な「俺の彼女」だが良く見て欲しい。彼女の手に常に握られた果物ナイフと目の奥の闇を。
俺は今彼女の目を盗んでこれを書いている。
終わり
理由は彼女の異常なまでの束縛だ。
やっと解放されたと思ったのに、最近長年の心労からか体調が優れない。
別れても尚、俺を苦しめるなんて、本当とんでもない女だ。
別れた当初はストーカーになるかと思ったが、意外とすんなりと別れを受け入れてくれた。
4月の始め、俺は仕事中突然胸が苦しくなり、病院に運ばれた。
これと言った異常は無く、原因不明。ストレスによるものだろうと、その日のうちに帰された。
それからと言うもの、俺は度々倒れ、倒れる毎に胸の痛みは強くなっていった。
ある日、家に帰ると郵便ポストに大判の封筒が入っていた。少し重みのあるそれを部屋で開けて驚愕した。
自分の顔写真の貼付けられた藁人形。胸には五寸釘が打ち付けられていた。
それから一枚の紙に『お前が死ぬまで許さない』と。
誰の仕業かすぐ分かった俺は、彼女に電話をしたが繋がらない。
どうしても文句を言いたかった俺は、彼女の親友に連絡を付け事情を説明した。
するとその子は微妙な間の後「彼女あなたと別れてすぐ自殺したのよ」と。
全身に鳥肌が立った。そこまで俺を憎んでいたのか…。
それからは、家に居ても仕事していても彼女の怨念が俺に纏わり付いているような感じがして、ろくに睡眠も食事も取れなくなった。
それでとうとう本気で体を壊し入院するはめになり、仕事も辞めた。全てを失い、長期の入院に嫌気がさした頃、一人の見舞客が現れた。
彼女だった。
驚く俺を尻目に彼女は笑顔で言った。
「友達に嘘付いて貰ったの。私は生きてるのよ。どう?全てを失った気分は?ねぇ、もう頼れるのは私だけでしょ?ねっ?ねっ?」
狂っている。
俺は彼女が分からない。体力も気力も限界だ。
どうする事も出来ない俺を看病しに彼女はやってくる。毎日毎日。明日も明後日も。
もはや病院では彼女は献身的な「俺の彼女」だが良く見て欲しい。彼女の手に常に握られた果物ナイフと目の奥の闇を。
俺は今彼女の目を盗んでこれを書いている。
終わり
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