七日七晩の慟哭6
菜那の家まではわずか数十メートル。あまり体育が得意ではないながらも、必死の思いで駆け続けた。
後少し。そこの角を曲がれば…
「待って下さい!!」
ついに自宅の敷地に片足踏み入れた所で男に腕を掴まれてしまった。
「離してっ!この、変質者ー!!」
雷鳴の様な菜那の叫び声が届いたらしく、近所の人々が訝しげな表情で窓などから顔をのぞかせる。
「菜那ちゃん、どうしたんだい」
中でも世話焼きで有名な左隣の老人が、庭木の剪定用の長鋏(ながばさみ)を持って現われた。
「おじいさん、助けてっ!!この人宗教の勧誘なの」「何いっ!!」
老人は筋金入りの宗教嫌いでもあった。凄味のある面相でジャキン!と鋏を大きく鳴らす。
「兄ちゃん、儂が代わりに話を聞いてやろうじゃないか…」
男は光を受けてきらめく、良く手入れされたその刃を見て青ざめた。
「ち、違います。僕はただ、この人に道を…」
「だから町民会館でしょ!?勧誘して連れてでも行くつもりなら―」
ちょうどその時、二人の正面の建物―樹内家の玄関の扉が開いて、中から菜那と同じ年頃の娘が出てきた。
「どうしたの、菜那。帰って来るならもう少し静かになさい」
後少し。そこの角を曲がれば…
「待って下さい!!」
ついに自宅の敷地に片足踏み入れた所で男に腕を掴まれてしまった。
「離してっ!この、変質者ー!!」
雷鳴の様な菜那の叫び声が届いたらしく、近所の人々が訝しげな表情で窓などから顔をのぞかせる。
「菜那ちゃん、どうしたんだい」
中でも世話焼きで有名な左隣の老人が、庭木の剪定用の長鋏(ながばさみ)を持って現われた。
「おじいさん、助けてっ!!この人宗教の勧誘なの」「何いっ!!」
老人は筋金入りの宗教嫌いでもあった。凄味のある面相でジャキン!と鋏を大きく鳴らす。
「兄ちゃん、儂が代わりに話を聞いてやろうじゃないか…」
男は光を受けてきらめく、良く手入れされたその刃を見て青ざめた。
「ち、違います。僕はただ、この人に道を…」
「だから町民会館でしょ!?勧誘して連れてでも行くつもりなら―」
ちょうどその時、二人の正面の建物―樹内家の玄関の扉が開いて、中から菜那と同じ年頃の娘が出てきた。
「どうしたの、菜那。帰って来るならもう少し静かになさい」
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