alone 52=昔話(side圭?)=
圭が12歳、水鶴が10歳のある日だった。
「圭」
東吾が圭に声をかける。
「…はい」
「教祖様が水鶴様をお呼びになっておられる。お呼びしてこい」
「はい」
本人にとっては当たり前のことだが、二つ返事で圭は了承した。
水鶴と圭は、共に理一の待つ部屋へ向かった。
「父上、何の用かな?」
「俺は…存じていま…せん」
「そっか」
「申し訳ありませ…ん」
「あはは、謝んないでよ 柊!!どこまでも忠実だなー、もう!」
――キィイ…バタ…ン
圭は先行して扉を開け、水鶴を通して閉めた。
「じゃ、圭はここで待っててね?」
「はい」
水鶴に言われ、圭は扉の前に立っていることにした。
水鶴が、父 理一のもとへ歩み寄った。
理一は鼻髭をたくわえ、髪は白髪と黒髪が入り交じって灰色っぽく見える。そして中年であろう証拠に、顔の至るところに皺ができていた。
「水鶴、また大きくなったか?」
「はい!!この前より2センチほど」
理一の問いに、ニコニコして水鶴は答えた。
理一の隣に立つ水鶴の母、中村 菊乃(ナカムラ キクノ)も、嬉しそうに話す子を見ながら微笑んでいる。
「それは良かった。ところで水鶴、剣の修行は順調かね?」
「はい!頑張って父上の役に立ちます!!」
「フフ、自信はあるようだな?その自信、確かめても構わんか?」
「はいッ!!」
「ならばコレで母上を殺してみせろ」
――カランッ
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