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alone 57=何の為に=

[372]  兼古 朝知  2010-04-19投稿


「柊が死亡しました」

「そうか」

水鶴の報告に、理一は顔色ひとつ変えずに返答した。

「…父上」

「何だ?」

「本当にこの戦い、勝つつもりは おありですか」

水鶴は苦しそうに言う。

「どうして…人が死んでも平然としてられるのですか?何故死人のことを一切気にかけないのですか…?」

「…質問が多いな」

理一は水鶴を嘲笑するかのようにして笑う。

「答えてあげよう。
私は この戦いで勝てると一度も思った事がない。
よって、手下が死んだところで何も思わない」

「!?」

水鶴は驚き、信じられないと言いたげな顔つきをした。

「じゃあ何故…ッ!?」

「柊の息子か?」

「それだけではありません!!今まで死んでいった自神の兵たちは、何の為に戦ってきたと言うのですか!?」

水鶴は思わず大声を出した。近くにいた自神の兵がビクリと体を強ばらせる。

「何の為とは愚問だな。私の為だろう?」

玉座の肘置きに頬杖をついて、理一は答えた。

「…私はね、水鶴」

理一は、語りだした。


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