航宙機動部隊第四章・16
天然羊毛純度一00%の紫絨毯は見る見る赤い体液によってどす黒く変色し―\r
『料理人は色んなモノを味わってナンボってね、アッキャッキャッキャ!だからさあ、自分の肉を食べると言う素敵な体験をさせてやるよ』
狂笑と共にフーバー=エンジェルミはスーツ姿達に命じ―目下シェフの体を細切れに解体中の彼等は一人ずつその肉片だの内臓だのを取り上げて、哀れな犠牲者の泡だらけの口に押し込んだ。
そして最早生きているのか死んでしまったのか分からなくなった料理長の前に再びしゃがんで、
『どうだ、旨いか?不味いか?まあそんな年を食った肥満体の肉じゃあ油まみれでしつこいだけかも知れないなあ』
相手の開き行く瞳孔に向けて蔑みの眼差しで問い掛けた。
『あーあ、これじゃあこの部屋にも居られないね』
それまでの騒ぎを退屈な映画でも見るか様に興味なく平然と眺めていたハミルトン=ゾラは、
『臭いし汚いし―まさか公子殿はこんな状況でもお泊まりで?』
確かにこの従者らしくもない従者の言う通り、死体は転がっているわ鮮血だの腸は飛び散っているわスイートルームは一挙に訳あり物件ですら聞いて呆れる悲惨な有り様と化していた。
当然他のホテルに移るさ、と言ってフーバー=エンジェルミはスーツ姿達に後始末を命じた。
若き暴君は忠実な(?)従者を連れてすぐ近くのやはり高級ホテルに徒歩で向かって行った。
いきなりばら蒔かれた一千万クレジット公貨分のチップが、さながらそこのロビーを戦場顔負けの争奪の舞台にし、理性とプライドをズタズタにされた支配人手ずからの案内で、やはり一番豪華なスイートルームを占領した。
本当は先客がいたのだがその一家はフーバー=エンジェルミの名前を聞いただけでバスローブ一枚で逃げ出していた。
あたふたとした清掃が終わったばかりの部屋のベッドに太子党の首領が寝転んだ時、一人の来客がノックもせずにドアを開けて入って来た。
十代半ば位の少女だった。
栗色の頭髪と耳目・純白の肌を持つ彼女はやや小柄で華奢な体つきをしている。
『ああ、ルクレツィアか』
ベッドから起き上がったフーバー=エンジェルミは、右の人差し指をチョイチョイとやって自分の隣に招き寄せた。
『ねえ―退屈じゃない?』
ルクレツィアと呼ばれた少女はそう言いながら公爵公子と並んでベッドに腰掛けた。
『料理人は色んなモノを味わってナンボってね、アッキャッキャッキャ!だからさあ、自分の肉を食べると言う素敵な体験をさせてやるよ』
狂笑と共にフーバー=エンジェルミはスーツ姿達に命じ―目下シェフの体を細切れに解体中の彼等は一人ずつその肉片だの内臓だのを取り上げて、哀れな犠牲者の泡だらけの口に押し込んだ。
そして最早生きているのか死んでしまったのか分からなくなった料理長の前に再びしゃがんで、
『どうだ、旨いか?不味いか?まあそんな年を食った肥満体の肉じゃあ油まみれでしつこいだけかも知れないなあ』
相手の開き行く瞳孔に向けて蔑みの眼差しで問い掛けた。
『あーあ、これじゃあこの部屋にも居られないね』
それまでの騒ぎを退屈な映画でも見るか様に興味なく平然と眺めていたハミルトン=ゾラは、
『臭いし汚いし―まさか公子殿はこんな状況でもお泊まりで?』
確かにこの従者らしくもない従者の言う通り、死体は転がっているわ鮮血だの腸は飛び散っているわスイートルームは一挙に訳あり物件ですら聞いて呆れる悲惨な有り様と化していた。
当然他のホテルに移るさ、と言ってフーバー=エンジェルミはスーツ姿達に後始末を命じた。
若き暴君は忠実な(?)従者を連れてすぐ近くのやはり高級ホテルに徒歩で向かって行った。
いきなりばら蒔かれた一千万クレジット公貨分のチップが、さながらそこのロビーを戦場顔負けの争奪の舞台にし、理性とプライドをズタズタにされた支配人手ずからの案内で、やはり一番豪華なスイートルームを占領した。
本当は先客がいたのだがその一家はフーバー=エンジェルミの名前を聞いただけでバスローブ一枚で逃げ出していた。
あたふたとした清掃が終わったばかりの部屋のベッドに太子党の首領が寝転んだ時、一人の来客がノックもせずにドアを開けて入って来た。
十代半ば位の少女だった。
栗色の頭髪と耳目・純白の肌を持つ彼女はやや小柄で華奢な体つきをしている。
『ああ、ルクレツィアか』
ベッドから起き上がったフーバー=エンジェルミは、右の人差し指をチョイチョイとやって自分の隣に招き寄せた。
『ねえ―退屈じゃない?』
ルクレツィアと呼ばれた少女はそう言いながら公爵公子と並んでベッドに腰掛けた。
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