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煙突のある町 #2

[270]  かんたろう  2010-04-22投稿
さすがに10年もたてば、町は以前の物とは変わってきていて
あの時、すでに汚れていた川は

今、耐え切れないニオイがする

それが漂う街中を一人歩く

残業をさせられた帰り道、街灯の少ない道

そんな道のわずかな街灯は、チカチカとおぼつかぬ明かりを燈している

まるで、町がSOSを知らせてきているようだった


部屋に着いたらもう12時をまわっていた

母はもう寝ている

起こさぬように、静かに食事を済ませた

このオンボロなアパートは隙間風がふく

悲しい音を立てながら、僕らの体へふれる


その音を激しい咳が遮る

壁の薄いため隣の音がよく聞こえる

隣には浪人生が住んでいた

まだ勉強をしてるみたいだ

この町の汚れた空気が彼を苦しめる


咳はひとしきり続き

…そしてまた悲しい音が聞こえはじめた

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