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alone 64=来ると思ってたよ=

[389]  兼古 朝知  2010-04-23投稿


途中で何人もの人に会った。何度も自分は自神を裏切ると説明した。
しかし誰も水鶴を咎めることはなく…彼らは歓喜の声をあげていた。

「不思議な感覚だ…」

水鶴は苦笑いを浮かべて言った。

「今まで会った自神の人たちの歓喜の分だけ…私や父上に対する憎しみは大きいのだろうからな」

「それも今日で終わりだろ?」

「いや…不信感を拭いきれない人もいるだろう」

「何だよ、後ろ向きだなー、お前は」

晶が持っていた刀の鞘をいじりながら言う。

「…失礼だな。極めて現実的だと言え」

それと鞘で遊ぶな、と眉間に皺を寄せて水鶴は言うのだった。

「どうせ非現実的で手遊びの多いヤツですよ、俺は」

むすっと ふてくされた様子で手遊びをやめ、本城へ入っていく晶と、晶の前をゆく水鶴。

そして自神宗教祖、理一のいる部屋の扉の前に来た。水鶴がいる為、周りにいる兵たちは非常におとなしい。

水鶴が口を開いた。

「…晶、心の準備は 出来ているのか?」

「ハッ、お前こそ大丈夫かよ?水鶴!」

「…本音を言えば出来てない」

「おいおい…マジで大丈夫か?」

晶が冷や汗をかきながら言うと、水鶴は薄く笑って言った。

「心の準備は出来ていないが…別にそれによって影響されるものは何もない。大丈夫だ」

「そっか。まぁ、何かあったら俺が護ってやるから、安心しとけ!」

「はは…お言葉に甘えておこう」

――ギィイ…

重い扉を、晶が開ける。

部屋の奥の玉座に、理一が座っていた。

「やぁ…来ると思ってたよ。水鶴に、皆神の少年…」

理一の言葉と共に、どこからともなく、自神の兵たちが武器を持って現れた。


「な、に…!?」

晶たちが戸惑う中……。


――バタ…ン…


開けた扉が、閉まった。

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