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alone 65=人質=

[355]  兼古 朝知  2010-04-24投稿


「な、な、何で…!?
さっき話した自神の兵まで攻撃体勢なんだよ!?」

晶の疑問。
何故、先程 水鶴にもう戦わなくてよいと言われて喜んでいた兵たちまでもが、自分達を囲っているのか?

「……父上。人質をお取りになったでしょう?」

水鶴が、キッと鋭い目線を理一に送り、言う。

「ふふ…。いい読みだよ、水鶴」

剣や銃を構える兵の後ろには…

兵の親兄弟、子供までもが人質として捕らえられ、心臓の辺りに何かしらの機械が取りつけられていた。

「…その人たちに何しやがった、自神の教祖!!」

晶が今にも理一に襲いかかりそうな目で、問いかけた。

「あぁ、呼び方は中村で構わないよ。
…なに、そこまで心配することはない。
私の手元のスイッチを押せば、人質たちの胸の爆弾が爆発するだけだよ」

言いながら、理一は手元のスイッチらしきものをプラプラと見せつける。

「…ッ!」

水鶴が刀を抜こうとしたとき、晶がそれを制止した。

「晶、何故!?」

「落ち着け水鶴!ヘタな真似したら、中村が爆発させかねねぇ…」

自分自身、抑えきれない怒りを心に宿しながらも、晶は冷静に言った。

「そう。そこの人質たちの命が惜しいなら…おとなしく殺されればいい話だろう?水鶴、少年」

ニヤニヤと嫌な笑みを浮かべながら、理一が言った。

「お願い致します…水鶴様。我々に殺されてください…」

ポツリと、兵の一人が言った。

「でなければ私の女房が…爆発してしまう…」

もう一人、呟く。

「俺の子供もッ…!!」

「私の弟だって…!!」

初めは小さかった呟きが、段々と大きくなっていく。

「頼む、代わりに死んでください!」

「人数の差を考えれば一目瞭然でしょう!?」

「あなたたち二人と、家族全員…!!どっちが優先かわかりますよね…!?」

「死んでくれ、お願いだ!」

「黙って殺されてくれれば それでいいから!!」

「大体アンタ達が来なけりゃ、こんな事には ならなかったんだ!」

「アンタらのせいじゃないか!!」

「死ね!!殺してやる!」

兵たちの吐く言葉は、段々 ただの憎しみの声に変わっていく。

「! 晶…!?」

水鶴がふと振り返ると…


「……ふざけんじゃ…ねェぞ…」


今までに見たことの無いような形相をした晶がいた。


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