alone 66=怒り=
(水鶴にゃ偉そうなこと言ったけど…。
無理…。
抑えられそうにないわ…)
「死ねェエッ!!」
自神の兵が、銃を二人のいる方向に向ける。
その時。
――ヒュカッ!!
軽く、鋭い音が響くと共に、構えた銃が真っ二つになった。
晶が目にもとまらぬ速さで斬ったのだ。
「…死にたくなかったら…この場にいる全員、動くんじゃねェ…」
晶は両手で刀を持ち、剣道で言う脇構え(剣を体の後ろに隠すようにした構え)で威嚇する。
晶の持つ剣が見えないのにも関わらず、気迫に圧されて兵は動けない。
理一までもが固まった。
「!!」
水鶴は それを見逃さなかった。
――バチィッ!!
水鶴は、素早く理一のスイッチを左手ごと叩き、弾き飛ばす。
カタリと音をたててスイッチは落ちた。
ボタンが直接床に当たらなかったため、爆発しなかった。
「これで戦う理由はなくなったぞ!!自神宗教祖、中村理一を捕らえろ!!」
水鶴が叫んだ。
その声に一瞬戸惑いながらも、兵たちはガチャリと武器を置き、理一を捕らえた。
「…!!」
理一は押さえつけられ、手を背の方で縛られる。
「ナイスだったな、水鶴…。よく見てやがる」
笑って晶が言うと、水鶴は溜め息をついて返答した。
「いつから作り笑いなんてするようになったんだ、お前は。怒りたいなら直接言ってこい」
「ん、ごめんな」
晶は這いつくばっている理一のもとへ歩く。
「何も言う気は ねぇみたいだな、中村」
「……」
晶が声をかけると、理一は無表情で晶を見上げた。
「黙ってても構わないぜ。俺、言いたいことがあるだけだから」
そう言って、晶は理一の胸ぐらを掴む。
「…信じてた人がいなくなる感覚ってな、すげぇ怖いんだ。
死んでいなくなっても、
裏切られていなくなっても、
すげぇ つらいんだよ。
お前みてぇな奴は…
一度も他人を信じたりは しねぇだろうがな、
水鶴は お前を…父親のお前を信じてたんだよ。
尊敬してたんだよ。
それをお前は、裏切りやがったんだよ…!
まだ小せぇ水鶴の心を…お前は傷つけやがったんだよ…!!」
「……」
理一は何も答えぬまま…
皆神の陣へ、連れていかれた。
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