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航宙機動部隊第四章・18

[506]  まっかつ改  2010-04-24投稿
同ティヴィタヴェキア・シテ・首相官邸―\r

パレオス星邦議長兼首相代行ペアリーノ=グィッチャルディーニは執務室に複数の閣僚を呼び寄せていた。
複数と言っても今回召じられたのはたった二人だったのだが。
黒色の執務卓の前、議長から見て左側にに書類を抱えながら立っているのが、パレオス星邦首席政務官ジョゼッペ=ヴェリーニ。
対して右側にはこの国の司法省長官・パンネラ=ディアーナが、がたいの良い体をスーツで包んでいる。
『今日君達に来てもらったのは他でもない』
机の上に両肘を載せて手を組んで、星邦議長は顎を軽く当てながら、
『太子党についてなのだが、最近ある不思議な変化に出会いましてな』
首相代行の言葉には謎かける様な試す様な幾つもの含みがあった。
『不思議な変化とは?』
その響きの暗示する所については官界の第一人者、首席政務官の明晰かつ老練な頭脳を以てしても今一判別しかねていた。
『うむ、実はな―』
幸いグィッチャルディーニに勿体ぶって相手を焦らす様な意図は少なくとも今回は―無かった。
『連合艦隊司令長官の対応がつい今しがたガラッと変わった』
『どんな風に変わられたのですか?』
ジョゼッペ=ヴェリーニの問いに、フーバー=エンジェルミ達に対してなら一八0度、との回答を得て、せりあがる興奮に司法長官は大きく鼻を膨らませながら真っ赤にして見せた。
『今まで良く耐えてくれた。遅ればせながら感謝しますぞ?これでようやく私も大っぴらに指示が出せる―だがおかしいなたった一晩であんなに人が変わるのを私は見たことが無い。先程ホロ画像を通して話し合った時の姿と来たら、まるで千年分の重荷を投げ棄てたかのような若返り方だったな―そう、それこそ莫大な借金から逃れられたみたいな―』
同時にされた二つの咳払いにふとグィッチャルディーニは我に帰った。
どうやら知らぬ内に饒舌になっていたらしい。
『まあとにかく』
議長は左に立てかけてある赤・緑・黄色からなるパレオス三色旗に愛しそうな目を向けながら、
『そう言う事で太子党の逮捕検束、ゴーサインを出しますぞ。ここは我々の国である事を奴等に思い知らせてやらねばなりますまい』
それを聞いていよいよ顔全体にまで赤い色素を押し広げた司法長官は大きく頷いて、
『お任せ下さい。準備なら既に出来ています』

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