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航宙機動部隊第四章・20

[484]  まっかつ改  2010-04-26投稿
グィッチャルディーニは再び件の画像に目を向けて、
『科学原理主義団体・人類進化《神化》宗教・魂の浄化《情報化》協会―おやおやおまけに真の神《超AI》思想までお出ましと来ましたか』
その言葉を聞いてジョゼッペ=ヴェリーニとパンネラ=ディアーナは一様に固唾を飲んで見せた。
『首席政務官、文明に置ける革新勢力の由来はご存知ですかな?』
問いながら議長は子供の様な笑みを見せて来たが、それは純真な愉楽からは程遠い素材から出てきた表情だった。
『テクノロジークライシスですな』
ヴェリーニは即答した。
さよう、とグィッチャルディーニは頷いて、
『科学技術の暴走に歯止めがかからなくなり、我々の祖先はそれとの存亡をかけた対決を余儀なくされた』
そうして第三次世界大戦が始まり、人類はほぼ麻酔無しの外科手術を幾十年にも渡って受け続けなければならなくなった。
その結果宗教界が統一され、保守勢力が誕生し様々な曲折を経ながら今に至るのだ。
今の航宙文明はその直系の子孫に当たると言って良い。
だが、革新陣営が歴史から全く姿を消した訳ではない。
かつて地球と覇を争った火星共和国と言い、惑星定住型文明を嘲笑うかの様に(事実嘲笑っていたが)遥かに進んだ軍事力・生活水準を誇った航宙遊牧民族と言い、その後林立した宙邦群も、その幾割かはあからさまに中央域文明を否定・離反する動きを見せた物だ。
グィッチャルディーニは、今度は政治家と言うよりは策士じみた笑顔を見せて、
『ピエトロ=ガルバーナ君の背後関係がこれで解って来ましたな』
表際は急進派のホープ。
だが、一枚皮をめくればそこにはより恐るべき複雑な陰謀・悪巧みの繋がりのキーパーソンとしての姿が見え隠れする。
最早彼は若手の期待の星何て悠長な存在では無くなった。
議長の推論が正しければ、ピエトロ=ガルバーナの目指す所は―\r
『混乱に乗じてこの国を横領し、あわよくば文明自体を換えてやろうと―そう考えてるのかも知れませんな』
議長が口にしたのは八割以上独り言だったのだが、それは首席政務官と司法長官を絶句させるのに十分な衝撃を持っていた。
『司法長官―引き続きピエトロ=ガルバーナの身辺調査を頼む』
体格に似合わぬ小心恐懼の汗を額に浮かべるパンネラ=ディアーナに、議長は指示を出した。

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