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alone 71=少年の墓=

[393]  兼古 朝知  2010-04-27投稿


バシャバシャと水溜まりの水を弾き飛ばしながら、水鶴が向かった先には…

「!!」

土が盛り上がり、その頂上に木の棒で作られた十字架が立ててあった。


「…間違いない。…ここだ」

水鶴は呟き、十字架に引っかけてあったマフラーを取った。それは圭が いつも使っていた青いマフラー。
思わず握る手に力がこもった。

「その下に…柊 圭は眠ってるわ」

やっとのことで追いついた夕が、息を切らしながら言った。
晶は普段 鍛えているせいか、息切れしていない。

「…ありがとう、夕」

水鶴は素直に礼を述べた。

「お礼を言われるほどの事じゃないわよ」

照れたのか、夕はプイと顔をそむけて言う。

「なぁ水鶴」

晶がニッと笑って水鶴に話しかけた。

「何だ?」

「また昔みたいに遊ぼうなッ」

「…子供じみたことを」

水鶴はフッと笑った。
綺麗な笑顔だった。



――サァアアァァア…

降り続いていた雨が、少し止んできていた。

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