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七日七晩の慟哭9

[310]  伯修佳  2006-08-24投稿
高田は菜那より10歳年上の27歳、長身で鞭の様に絞まった身体に精悍な美貌を持った男である。彼と二人で買い物に出かけようものなら、まず間違いなく道往く女達は振り返るだろう。そして次には菜那が必ず『何でこんな青臭いガキが隣に』という、ブリザード的な視線を浴びるのだった。
当然だ、と彼女は思う。
出会って7年の付き合いなのに、未だにこうしてその磁力を再確認するのだから。
「あーもう!第一印象最悪だし、嫌ーな予感すんだよね。アイツとは絶対合わない気がする〜」
「菜那」
ふいにすぐ傍で高田の気配を感じて彼女の呼吸が一瞬止まった。
「あんまり乱暴に拭くと傷つくだろ」
高田は菜那の隣に立つと、火を点けた煙草をくわえながら球を打つキューを布で丁寧に拭き始めた。
「ちょっと、高田さん。他人の事言えないじゃない。灰落ちたらどうすんの」
「大丈夫」
「それに禁煙するんじゃなかったの」
「…そんな事言ったっけ」
「言った。破ったら罰ゲームの話までしたよ」
高田は何故か急に遠い目をして手を止め、口からゆったりと煙を吐き出した。
「その瀬沢くんだけどさあ」
「今その話してない」

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