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航宙機動部隊第四章・24

[573]  まっかつ改  2010-04-29投稿
『全くどいつもこいつも浮かれ騒ぎおって』
最外縁征討軍戦事総司令官・ロバート=ハートフォード大将は不機嫌を摘まみにウィスキーの水割りを飲んでいた。
ここは合衆国連合艦隊旗艦《D=カーネギー》でも最上表層に位置する高級士官専用のバーだ。
よって天井から片方の壁に至るまで展望素材となっており、その先には惑星ティヴィタヴェキアが巨大な青白い宝石さながらに茶色い陸地に複雑な紋様を描かせながら神秘的な姿を見せている。
民間人や要人すら入場は制限されているミリタリーの楽園ではあるのだが、それも考え物で、アリ=アリアンスの戦勝の心理的影響をもろに被る連中だらけの巣窟だけにその雰囲気はそれこそ手放し無礼講のお祭り騒ぎも良い所で、それが大将の眉間に刻まれた皺が一向に退却しない最大原因であった。
『まだ勝った訳じゃないんだ―敵の主力は無傷で決戦の機会を窺っている』
ロバート=ハートフォードは周りで飲んだくれては戦勝歌を合唱する同僚共に苦々しい視線を向ける。
彼の言う通り帝国が滅んだ訳でも統合宇宙軍を倒した訳でもないのだ。
飲もうとして大将はふと気付いた。
既にグラスもボトルも空になってしまったではないか。
彼が舌打ちをする間もなく、手際よく代わりの瓶と水いれがテーブルの上に置かれ、
『閣下はこの戦いには反対ですか』
聞き知った女性の声に問い掛けられた。
声の主は手早く水割りを作ってやり、大将に差し出す。
『反対な訳がないさ』
受け取ってロバート=ハートフォードは、濃い目のそれに口を付けた。
『より正確には反対する権利など最初から無いんだ―この遠征に参加してる連中の事、知ってるだろ?』
大将はやや俯き加減で話し、丸テーブルの脇に立つ女性の顔所か姿すら見ようとしなかったが、お構い無しの様子で、
『多かれ少なかれ脛に傷のある奴ばかりだ。赤字・借金・不況・経営危機とな。ここらで一発大きな山を当てないと、会社を畳むか首吊るかしなけりゃならなくなる類いがまあ八割と言った所だな』
ロバート=ハートフォードの言った事は真実だった。
彼等傭兵艦隊は本来なら殺し合いはしない。
戦闘艦も訓練された兵士も元々高く付くからだ。
それなのに、何故やりたくもない殺し合いをしにこんな辺境中の辺境にまでやって来たのか?
答えは簡単―法外なマネーにつられたからだ。

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