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いつもの場所で43

[436]  YOSI  2010-05-04投稿
偶然とは、恐ろしいものである。
文子とのデートを楽しんでいた哲彦は、麻由とほぼ同じ周り方をしていることに気がついた。
「楽しいですね?
私…こうやって、はしゃいだ感じで、デートなんて初めてなんですよ」
「本当に?」
「本当ですよ〜。私あんまり、感情出す方じゃないんですよ。」
「じゃあ、俺の前では出してるってこと?」
「ええ」
「そりゃ嬉しいなあ(笑)俺もあまり出す方じゃないけど、逆にありがたく思うよ」
哲彦は、文子と本音で話していることに気がついた。
(不思議だなぁ。思いとは裏腹に、彼女と話していると…冷静な自分が、不思議と崩れていってるよ…でも…)
哲彦の「でも」と思う理由は、心のどこかに、かすみの存在があるからで、その思いがあることについては、麻由にも悪いとは思っていた
「今日は、どうする?」
「はい?」
「何時まで、ここにいられる?」
哲彦は、文子と、居られるだけ居ようと思って、質問してみた。
「私は特に用事がないから、閉園まで大丈夫ですよ」
もちろん文子も、哲彦の問いが、そういった意味であることは、わかっていた
「本当に?じゃあ、閉園まで楽しもうか?責任持って送って行くから」
「はい!じゃあ、アトラクションとか、はしゃいじゃっていいですか?」
「遠慮なく!じゃあ俺も、おじさん面下げて、思いっきりはしゃぐよ!」
「いいですよ〜。気を使わないでくださいね!」
2人は、お互いに笑顔を見せていることを、なんとなくわかっていた。
「いい笑顔だね。今日は、いや…これからも、そんな笑顔でいて欲しいなあ〜素敵な笑顔だよ」
「本当ですか?私…そんなこと言われたこと、ないんですよ」
「お世辞じゃないよ。きっと気づかなかったんだよ。みんな!君の魅力に!…ごめん!くさいこと言って」
「そんなことないですよ。すごく嬉しいです」
そして、2人は残りの時間を、思う存分楽しんだ。
哲彦は、今だけは、麻由やかすみのことは、頭から切り離していた。
麻由が、自分に対して、もっと割り切って付き合ってくれると有り難かったが、現実は、麻由は哲彦の思っている以上に、哲彦への思いを強くしていた。

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