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航宙機動部隊第四章・28

[564]  まっかつ改  2010-05-04投稿
『ったく、どいつもこいつも浮かれ騒ぎやがって』
同じバーの反対側では、リク=ウル=カルンダハラが三分の二程飲み干されたビール中ジョッキ片手に、呆れた目線を周囲に向けていた。
展望壁の代わりにこちら側では、大きなステージが配されていて、六人組のジャズバンドが景気の良い曲をバンバン生演奏している。
『まだ最終的決着が付いた訳じゃない―統合宇宙軍主力は健在だってのに』
そう独りごちつつ、摘まみの枝豆を口に放り込む。
彼の丸テーブルとステージの間のフロアでは、早くも戦勝気分の士官達がめいめい女性を相手に即興のダンスに明け暮れている。
その歓声と嬌声とジャズの音交わる一種異様な興奮に包まれた空間を冷ややかに眺めながら、リクはビールの残りを胃へと流し込む。
そこへ、目敏くも誰かが代わりのジョッキと枝豆で山盛りとなった皿を丸テーブルの上に置いてくれた。
『あなたはこの戦争には反対?』
それは女性の声だった。
『今更反対しても、もう後戻りは出来ませんよ』
そう言いつつ、リクは二杯目に当たるジョッキを手にし、女性の方を見た。
紺を基調とした軍服姿だった。
やや開かれた襟元や袖口等には白色の縁取りが配されている。
顔付きは大人びた二0代か、さもなくば若々しい三0代と言った所か。
特徴的なのはその肩まで伸びる髪と眉で、いずれもルビーをすかした様な鮮やかな真紅色であった。
対照的に二重の瞼を持つ両目は、熱帯の海の様な透明感満点の青であった。
肩や襟に付いている階級章から、どうやら彼女はかなりの高級士官の様だった。
『その様子を見るとね―まるで戦う前から我が軍の敗けだと言っているみたいなんだけど』
女性は口元を尖らせて見せた。
『やる前から分かっている―だからやるべき義務も責任も最初から投擲するってのは私としては納得行かないのよね』
女性は言いながら腕を組んでこくこくと頷いて見せた。
『はあ』
要領も得ないままリクは力なく返事して見せた。
これではまるで自分が責められているみたいではないか。
彼女は寄ってきた白服のウェイターに何か飲み物を注文してから、
『うちの作戦参謀とかね―司令部が設置されても軍容が編成されても一向に仕事しないの。しないと言うより出頭もしなければ連絡も取れない!これって酷いと思わない!?』

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