アオイ、そら。11
4 行動
次の日,
登校するなり多哀の前に再び仁王立ちになった。
『おい,多哀蒼。』
いつものように読書していた多哀は,不快な目を私に向けた。
『笑え。』
私はニヤリと思いきり作り笑いな顔を見せ付けた。
いつも表情のかたい多哀だが,ゆきにいと従兄弟ならば笑顔位,
自然に作れると思ったのだ。
多哀は意味が分からないと言う風に眉間にシワを寄せると私から顔を背けた。
クラスメートの視線が徐々に私達に向けられている。
『おいコラ,笑えば良いんだよ。お前が暗いのはな,そうやっていつも真顔だからだぞ。』
そうは言っても,
今まで一度も教室で笑ったことのない多哀には,ハードルが高いのかもしれない。
多哀は相変わらず真顔で,私が諦めて目の前から消えるまでの辛抱と,
ただひたすらに耐えている。
『反実ィ,何してるのォ?』
少し遅れて登校してきたぐっさんが,欠伸をしながら私(多哀の席)に歩み寄った。
『ぐっさんも協力して,多哀を笑わせるんだよ。』
『多哀君を,ねェ。』
気だるそうに腕を組んだぐっさんは何かを思いついた様に言った。
『じゃあさ,遠足の班,一緒になろうヨ。流石に遠足で真顔なんて事ないでショ?』
『なるほどっ!』
ぐっさんにしては良い案だ。
私達はちょうど二週間後に高校生活最後の遠足を控えていた。
行き先は定番の牧場。
そこで多哀と親しくなろうと言うわけだ。
『多哀,お前を私の班に入れてやる!おっと,誰が何と言おうがお前は私の班だ。分かったな!』
多哀は深い溜め息を一つついた。
〇〇続く〇〇
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