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「かけがえのない青春のひとコマ」10

[524]  三太郎  2010-05-07投稿
田川は

前の試合の疲れからか
技のキレは
本来のものではないが

手足が長く
懐も深いため
攻めあぐねた


不用意に飛び込めず
時間は経過していく


僕は攻め続け
何度も場外まで
後退させるが
攻め落とせない


嫌な雰囲気の中で

僕は少し
攻め疲れたフリをして
田川を誘った


田川は一息つき
この試合はじめて
攻めてきた

田川の蹴りを
前に出て受け

骨折してた右手で
渾身のストレートを
田川の顔面に叩き込んだ

田川は腰から砕け
崩れ落ちた


大歓声が
試合場を包んだ

・・・・・・・・・・

試合後の礼が終わり
試合場を出た僕に
駆け寄るチームメートを制した


全体の整列(礼)が
終るまでは厳粛にしろ!


かつての名門
龍谷大学日本拳法部
復活の瞬間だった…


最近途切れたらしいが
僕の2期下の代から
我が母校は関西大会
15年連続
準決勝以上進出
という金字塔を建てた


たかが
学生スポーツ

されど
学生スポーツ


あの日以来

未だに右手は
若干不自由だが
日常生活には支障はない

むしろ
右手の不自由を
感じると

あの日のように
闘志が吹き出る!

絶対勝つぞ!

あの時は試合だったが
今は自分の正道を
貫くことに気合を入れる

絶対勝つぞ!


かけがえのないひとコマ
昭和63年度
関西学生拳法選手権大会

ー閉幕ー
あとがきに続く

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