航宙機動部隊第四章・31
第一期九日(修正太陽暦一月九日)にこの宣戦布告を受け取った最外縁征討軍は―\r
『胡地蛮賊の野良犬風情目が!何を思い上がってやがる!』
『今更逃げ場が無いとやけにでもなったか!挑発だけは一丁前にしやがって!!』
『どうやら先のアリ=アリアンスだけでは教育が足りなかったみたいだな。所詮土人は土人か』
『ふん、そんなに宇宙の塵になりたければ鎧袖一触、すぐにでもしてくれるさこの狂信者共めが』
当初は唖然としていた彼等は、しかしすぐさま憤激と嘲笑でこれを迎えた。
アリ=アリアンスの遭遇戦で彼我の実力差は明らかとなっており、そこから生じた自信、もしくは過信が彼等から慎重さや理性的な態度を奪い去っていたのだ。
戦えば必ず勝つ―連合艦隊将兵達は既にそう思い込んでいた。
それに加えてこれまでの太子党を中心としたテロや本来なら味方である筈のパレオス星邦星民の反抗・自身の内部分裂に決断の取れない上層部と、鬱憤の溜まる条件がめじろ押しで、それが彼等になにがしかの捌け口を求めさせていたとしても無理は無かった。
そこへこの相手の弱点を見事なまでえぐりにえぐった挑戦状が来たのだから、最後まで残っていた自制心のかけらが一挙に吹き飛んでしまったのもある意味当然だったと言えよう。
しかも、帝国に抜かりはなく、実はこれに合わせるかのように大本営左総長クレオン=パーセフォンが中心となって、パレオス星邦内部の反太子党・反中央域勢力に密かに武器や資金を送って盛んにけしかける工作を活発化させていた。
その効果は平時ならば一時の事件で済む所が様々な臆測や利害や連鎖を次々と呼び込み、同星邦はかつての大暴動の再来を極度に恐れ、連合艦隊を決戦に追い込む強力な一因となるまでに成功を収めたのだ。
同星系の要塞化に望みを託す戦略はここに完全に破綻した。
最早連合艦隊はパレオスを傘下に置き続けたければ一早く統合宇宙軍主力を破らなければならず、またそれはいともたやすい事とその将兵達は相手を見下し舐めきる迄になっていて、最早彼等の好戦気分を抑えられるだけの手段も人物も司令部は持ち合わせていなかったのである。
ここに最外縁征討軍の方針は決まった。
彼等は帝国の挑戦を受けて立ち、これを一挙に覆滅すべくその主力に動員をかけ、全軍アリ=アリアンスに終結する様命を発したのだ。
『胡地蛮賊の野良犬風情目が!何を思い上がってやがる!』
『今更逃げ場が無いとやけにでもなったか!挑発だけは一丁前にしやがって!!』
『どうやら先のアリ=アリアンスだけでは教育が足りなかったみたいだな。所詮土人は土人か』
『ふん、そんなに宇宙の塵になりたければ鎧袖一触、すぐにでもしてくれるさこの狂信者共めが』
当初は唖然としていた彼等は、しかしすぐさま憤激と嘲笑でこれを迎えた。
アリ=アリアンスの遭遇戦で彼我の実力差は明らかとなっており、そこから生じた自信、もしくは過信が彼等から慎重さや理性的な態度を奪い去っていたのだ。
戦えば必ず勝つ―連合艦隊将兵達は既にそう思い込んでいた。
それに加えてこれまでの太子党を中心としたテロや本来なら味方である筈のパレオス星邦星民の反抗・自身の内部分裂に決断の取れない上層部と、鬱憤の溜まる条件がめじろ押しで、それが彼等になにがしかの捌け口を求めさせていたとしても無理は無かった。
そこへこの相手の弱点を見事なまでえぐりにえぐった挑戦状が来たのだから、最後まで残っていた自制心のかけらが一挙に吹き飛んでしまったのもある意味当然だったと言えよう。
しかも、帝国に抜かりはなく、実はこれに合わせるかのように大本営左総長クレオン=パーセフォンが中心となって、パレオス星邦内部の反太子党・反中央域勢力に密かに武器や資金を送って盛んにけしかける工作を活発化させていた。
その効果は平時ならば一時の事件で済む所が様々な臆測や利害や連鎖を次々と呼び込み、同星邦はかつての大暴動の再来を極度に恐れ、連合艦隊を決戦に追い込む強力な一因となるまでに成功を収めたのだ。
同星系の要塞化に望みを託す戦略はここに完全に破綻した。
最早連合艦隊はパレオスを傘下に置き続けたければ一早く統合宇宙軍主力を破らなければならず、またそれはいともたやすい事とその将兵達は相手を見下し舐めきる迄になっていて、最早彼等の好戦気分を抑えられるだけの手段も人物も司令部は持ち合わせていなかったのである。
ここに最外縁征討軍の方針は決まった。
彼等は帝国の挑戦を受けて立ち、これを一挙に覆滅すべくその主力に動員をかけ、全軍アリ=アリアンスに終結する様命を発したのだ。
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