あたしはカラス
あたしはカラス。
いつも大好きなあいつに向かって鳴き声あげて困らせる。
大好きだって言いたいけど、ただ荒々しいガァガァってのにしかなんない。
人間から見たら、あたし、ただのゴミ漁る汚らしくて迷惑なヤツってあたしの事思うでしょう
そんな事言うな!勝手な話作んないで!って言いたいけど、やっぱりガァガァってしか伝わらない。
でも本当に、あたし… カラスだって悪いとこばっかじゃないんだ。
あいつは… わかってくれる。だから、大好きなんだ。
毎日毎日あたしが迷惑かけても、あいつはかかさず空き地に来てくれる。
死ぬまで、あたしはこうしていたいって、 思うんだ―――。
ある日、あいつに彼女が出来たっていう情報が耳に入った。目の前が真っ暗になるのを感じて、あたし一人で泣いたんだ。
唯一の大切な人を…
独り占めできなくて…
そしてあたし、孤独に死んでった。泣きながら深い森に迷い込み、フラフラしながらさ迷った。
あいつの笑顔を思い出し、あたしも最期の精一杯の笑顔を浮かべた。
そして、ゆっくり、ゆっくり気が遠くなっていった。
あたしはカラス。
カラスって大抵何の感情も抱くことのない人生歩んで、死んでいく。
あたしは、悲しさも、幸せも心に刻むことが毎日できて、本当に、本当に運のいい…
カラスだった。
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