航宙機動部隊第四章・37
その翌朝、遍在型ソーラーシステムの眩しい陽光を気持ち良さげに浴びながら、リク=ウル=カルンダハラは船内通路をゆっくりと歩いていた。
余り気の進まない話だが、彼は新編パレオス防衛軍の作戦参謀を拝命しており、その職務を果たすためK=シャフラン少将始め司令部スタッフの待つ仮設オフィスへ向かわなければならなかったのだ。
更に気の滅入る事に、今や彼は太子党総帥フーバー=エンジェルミから最優先ターゲットとして狙われている事は確実で、対策として外出時には常に私服憲兵二人を伴う事が決まりとなっていた。
弱冠十八才の少年にとっては羽を伸ばす暇も無いも同然だった。
巨大な恒星間客船の事とて、直線距離で一KM弱・実質所用では二KM強の道のりを、彼は消化しなければならなかった。
とは言っても、大半は帯磁チューブを走る立体列車に乗るだけで済んだのだが。
仮設オフィス最寄りの発着場に足を下ろした彼は、しかしいきなり妙な叫び声を聞いた。
『アラヒトカミ様照覧あれ!』
気付けば発着場から伸びる通路では、叫び声の主と思われる男達が四、五人こちらに向けて銃を構えているではないか!
彼らは一様に血走った目をしており、肩のみで荒い呼吸を繰り返し、顔中不健康そうな脂汗をたらしまくっている。
『ふふ・・・へへへ―アラヒトカミ様あ、私は私の使命を果たします』
麻薬中毒患者か―リクは即座に看取した。
それも恐らくはリスクの高い天然ドラックの。
相手は更に仲間が増えて六人、対してこちらは護衛含めて三人。
しかも自分も味方二人も軍事訓練を受けた言わばプロだ。
勝ち目は無くも無い―そう少年が踏んだ瞬間、
『おおアラヒトカミ様よ―いよいよ我が崇高な義務を遂行する時が来ました』
今度は後ろから同質の声が投げ掛けられた。
思わず振り返るリクの目の前には、本来なら彼を守るべき私服憲兵の一人が、やはりこちらの頭目掛けてハンドレイを構えている。
そして残る一人は―うつ伏せに倒れて床面を赤黒く塗装していた。
胸に冷たい巨大なつかえが挟まって、一言も発せないリクを彼等は円く囲んで、
『ここにささやかな生け贄を捧げます―この日来る事をアラヒトカミ様に感謝します。願わくば快く嘉納されん事を』
狂った男達は一斉に唱和し、
リク=ウル=カルンダハラは全方面から銃撃を浴びせられた!
余り気の進まない話だが、彼は新編パレオス防衛軍の作戦参謀を拝命しており、その職務を果たすためK=シャフラン少将始め司令部スタッフの待つ仮設オフィスへ向かわなければならなかったのだ。
更に気の滅入る事に、今や彼は太子党総帥フーバー=エンジェルミから最優先ターゲットとして狙われている事は確実で、対策として外出時には常に私服憲兵二人を伴う事が決まりとなっていた。
弱冠十八才の少年にとっては羽を伸ばす暇も無いも同然だった。
巨大な恒星間客船の事とて、直線距離で一KM弱・実質所用では二KM強の道のりを、彼は消化しなければならなかった。
とは言っても、大半は帯磁チューブを走る立体列車に乗るだけで済んだのだが。
仮設オフィス最寄りの発着場に足を下ろした彼は、しかしいきなり妙な叫び声を聞いた。
『アラヒトカミ様照覧あれ!』
気付けば発着場から伸びる通路では、叫び声の主と思われる男達が四、五人こちらに向けて銃を構えているではないか!
彼らは一様に血走った目をしており、肩のみで荒い呼吸を繰り返し、顔中不健康そうな脂汗をたらしまくっている。
『ふふ・・・へへへ―アラヒトカミ様あ、私は私の使命を果たします』
麻薬中毒患者か―リクは即座に看取した。
それも恐らくはリスクの高い天然ドラックの。
相手は更に仲間が増えて六人、対してこちらは護衛含めて三人。
しかも自分も味方二人も軍事訓練を受けた言わばプロだ。
勝ち目は無くも無い―そう少年が踏んだ瞬間、
『おおアラヒトカミ様よ―いよいよ我が崇高な義務を遂行する時が来ました』
今度は後ろから同質の声が投げ掛けられた。
思わず振り返るリクの目の前には、本来なら彼を守るべき私服憲兵の一人が、やはりこちらの頭目掛けてハンドレイを構えている。
そして残る一人は―うつ伏せに倒れて床面を赤黒く塗装していた。
胸に冷たい巨大なつかえが挟まって、一言も発せないリクを彼等は円く囲んで、
『ここにささやかな生け贄を捧げます―この日来る事をアラヒトカミ様に感謝します。願わくば快く嘉納されん事を』
狂った男達は一斉に唱和し、
リク=ウル=カルンダハラは全方面から銃撃を浴びせられた!
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