私の頭の中の友達
ある日の朝、突然私の頭の中に声が響いた
『もしもし、聞こえるかい?』
「え?」
あまりに突然だったので、私は食べかけのトーストを床に落としてしまった
『良かった、やっと通じたみたいだね。ビックリさせてしまってゴメンよ』
また声が聞こえた。男の人のようだ
「あの…これは一体…?」
恐る恐るたずねてみた
『これは一体どういう事かって?』
彼は特に気にした様子もなく、淡々と語った
『さぁ、僕には分かりかねるね。何しろ僕がこんなことを出来るようになったのも、たった一週間前の話だからね』
「……」
『でも、一つだけ分かることがある』
「何ですか?」
『君は最近、“ケータイが欲しい”と思っていたね?』
「………」
図星だった
私の通っている中学校でも、ケータイを持っている生徒は珍しくない。というか、ケータイを持っていない生徒の方が珍しいのだ。
中学校ではケータイの持ち込みが禁止されてはいるが、特にチェック等はないため持ち込むのは簡単だった。
最初はそんなことは気にならなかったが、休み時間や、授業中にケータイを使っているのを見ているうちに“私もケータイが欲しい”と思うようになった。そしてその思いは、日を増すごとに強くなっていった
『君の強烈なまでのケータイへの執着心が、これを可能にしたと、僕は思ってる』
「なんでそんなこと…」
『僕も同じだからだよ』
「貴方も?」
『その呼び方はやめよう、聞いた所、君は僕と同じ中学生みたいだから…そうだな…僕のことは“ユウヤ”と呼んでくれ』
「ユウヤ…」
『そうだよ、君のことはなんて呼べば良いかな?』
どうしよう…なんて呼んでもらおう…と考えていると、いつのまにかこの会話に慣れてきている事に気付いた。
それどころか、ユウヤに対して親しみすら覚えている
「じゃあ私のことは…“ミズキ”って呼んで」
『ミズキか…良い名前だ、君の本名?』
「そうだよ、どうせ呼んでもらうなら本名の方が良いと思ったから」
『なるほど』
ユウヤは満足そうに呟いた
『ゴメン、ちょっと用事ができたからひとまずこれで失礼するよ。そうだな…5時間後にまた話そうか』
「分かった、どうせ暇だからいつでも良いよ」
『ありがとう』と言ってユウヤの声は消えた。気付いたら3時間も経っていた
〜続く〜
『もしもし、聞こえるかい?』
「え?」
あまりに突然だったので、私は食べかけのトーストを床に落としてしまった
『良かった、やっと通じたみたいだね。ビックリさせてしまってゴメンよ』
また声が聞こえた。男の人のようだ
「あの…これは一体…?」
恐る恐るたずねてみた
『これは一体どういう事かって?』
彼は特に気にした様子もなく、淡々と語った
『さぁ、僕には分かりかねるね。何しろ僕がこんなことを出来るようになったのも、たった一週間前の話だからね』
「……」
『でも、一つだけ分かることがある』
「何ですか?」
『君は最近、“ケータイが欲しい”と思っていたね?』
「………」
図星だった
私の通っている中学校でも、ケータイを持っている生徒は珍しくない。というか、ケータイを持っていない生徒の方が珍しいのだ。
中学校ではケータイの持ち込みが禁止されてはいるが、特にチェック等はないため持ち込むのは簡単だった。
最初はそんなことは気にならなかったが、休み時間や、授業中にケータイを使っているのを見ているうちに“私もケータイが欲しい”と思うようになった。そしてその思いは、日を増すごとに強くなっていった
『君の強烈なまでのケータイへの執着心が、これを可能にしたと、僕は思ってる』
「なんでそんなこと…」
『僕も同じだからだよ』
「貴方も?」
『その呼び方はやめよう、聞いた所、君は僕と同じ中学生みたいだから…そうだな…僕のことは“ユウヤ”と呼んでくれ』
「ユウヤ…」
『そうだよ、君のことはなんて呼べば良いかな?』
どうしよう…なんて呼んでもらおう…と考えていると、いつのまにかこの会話に慣れてきている事に気付いた。
それどころか、ユウヤに対して親しみすら覚えている
「じゃあ私のことは…“ミズキ”って呼んで」
『ミズキか…良い名前だ、君の本名?』
「そうだよ、どうせ呼んでもらうなら本名の方が良いと思ったから」
『なるほど』
ユウヤは満足そうに呟いた
『ゴメン、ちょっと用事ができたからひとまずこれで失礼するよ。そうだな…5時間後にまた話そうか』
「分かった、どうせ暇だからいつでも良いよ」
『ありがとう』と言ってユウヤの声は消えた。気付いたら3時間も経っていた
〜続く〜
感想
- 37716: 乙一さんの小説に似てる [2011-01-16]