終わらない…
おかしいな
こんなハズじゃなかった
そんな事を考えながら目の前の階段を上っていく。
最上階にたどり着くと重たい扉を開けて屋上へと足を進めた。
月もない闇夜
ゆっくりと端まで歩く。
金網に指をかけてフェンスを乗り越えると、不安定な身体をフェンスに預けながら下から吹き上がる強い風を受ける。
何もかも終らせたい
その思いだけが自分を支配していた。
見渡す景色は闇
十字架の様に両手を広げて静かに闇へと飛び込んだ。
身体は加速を付けて落ちて行く。
グシャ…
潰れた肉塊はもう人の形をしていなかった。
〃これでやっと終わった〃
ハズだったのに
目の前の階段を見てため息を落とす。
終わらない
これが自殺者への罰なのか
死ねば楽になれると安易に思った罰
終らせたかったのに終わらない世界へと閉じ込められてしまった。
階段を上って屋上から飛び降りたほんの1時間の空間に縛られた世界
自分の意思とは関係なく繰り返される世界
それが
この終わらない世界の掟
愚かな行為への対価
そして今日もまた、目の前に突き付けられた階段を絶望しながら上って行った。
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