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世紀末戦記 2

[309]  カザン  2010-05-17投稿
僕の育った村は、アルドラスという非常に小さい国の貧しい村だった。アルドラス、ペチュ、カルラル、サナタラ、バームの5国は世界的にはアムチャット諸国と呼ばれ、連邦を形成する最も大きな国家、ラザール帝国との国境にあった。
貧しく小さい国々を強大な連邦が統合するのは容易いことに思えたが、それは50年経っても出来ていない。それはアムチャットが反連邦国家ジークの最後の砦として、連邦軍の侵略に、ジークから来た反連邦組織ズーラントがゲリラ戦法を武器に長い間抵抗してきたからである。しかしアムチャットは戦場となり、村の多くの者が命を落とした。
そして12歳の乾季に母から「私たちアムチャットは連邦には食料と情報をやり、ズーラントには隠れ家と人をやり、その両方に戦場を与えて生きていく運命なのよ」と告げられた時、頭の中にあったものすべてを捨てたくなる衝動に駆られた。
そんな葛藤の中にいても、叔父さんは毎年やって来た。15の時、叔父さんに勇気を出して言った。
「僕も叔父さんと一緒に旅がしたい。いろんなものを見てみたい。」
すると叔父さんは
「出来ればそうしてやりたい。でも、出来ない。」
と今まで期待を裏切らない答えを返してきた叔父さんが、初めて期待外れのことを言った。叔父さんが去ってから、僕は悲しくて部屋にこもって泣いていた。

そして僕が生まれて16年目の雨季を迎えた。

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