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航宙機動部隊第四章・41

[719]  まっかつ改  2010-05-19投稿
武装興信達はプラズマ小銃の引き金に指をかけ―厚紙を引き裂く様な音を立てて、青白く輝く幾多の光条が安史那晶子に降り注いだ。
七人から集中砲火を喰らった宗教界特務の立つ辺りは複数のプラズマが練り込まれる様にぶつかり合い、その姿は伸縮と波打ちを繰り返す光の渦によってかき消される。
武装興信達はその有り様を見ていったん射撃を止めた。
最早あの女等、骨に至るまで分子単位にばらばらにされたに違いない―\r
しかし、彼等がおのが目を疑うまでに三0秒とかからなかった。
プラズマの渦は二度三度まばゆくスパークしたかと思うと、たちまちの内にはじけ飛び、後には緑色に輝く光の膜が現れた。
そしてそれに包み込まれる様にして、安史那晶子は仁王立ちしていたのだ。
その胸には緑色の大振りのペンダントが猛々しく輝く。
彼女は悠然と腰まで届く長い髪をかき揚げ、
『ここまで無知だと開いた口が塞がらないわね』
そして、本当に開いた口が塞がらなくなっている黒スーツ達に向けてペンダントをかざした。
彼等は恐らくは狼狽し、逃走し、断末魔の絶叫を放った。
だが緑の宝石からほとばしった同色の光の嵐は、確実に連中を捉えその全てを容赦なく呑み込み圧殺する!
エネルギーの海が消え去った跡には、今しがた殺戮に酔いしれていた筈の七人が、黒スーツから湯気を立ててごろごろと転がっていた。
『まだ息はあるみたいね―私も随分と優しくなった物だわ』
その姿を見て、吐き捨てる様に晶子は呟いた。
聖石使い―\r
正式名称を聖波動師と言う人体の電磁力を極限までに引き出す、晶子は銀河でも十指に入る程のスペシャリストだったのだ。

このエネルギーの応酬中、柱の陰に避難していたテンペ=ホイフェ=クダグニンが恐る恐る姿を現した。
『あ、有難うございます、聖波動師様』
『いいえ、本当ならそこに倒れている憲兵達も助けてあげたかったのだけど』
欲を言えばきりがないか、と言いながら晶子は殉職した私服憲兵達に無念そうな目線を向けた。
後五分、否、三分彼女が来るのが早ければ彼等も太子党の餌食にならずにすんだ筈だ。
そこへ、丁度立体帯磁軌道列車が到着し
『テンペ、無事か!?』
ハンドレイを手に持ちながら、中から降りたリク=ウル=カルンダハラが駆け付けて来た。

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