ドアを開けるとセイルが立っていた。髪はボサボサで顔も洗ってないようだったが、その目は輝いていた。彼も叔父さんの帰郷を楽しみにしている一人である。｢よし、行こう!!｣
キーオーとセイルは村の入り口へと向かった。馬小屋の横を通り過ぎ、小麦畑を抜ける。朝食を食べるのも忘れて走り抜ける少年たちを見て不思議に思った羊飼いのグラニスが
｢どこ行くんだよ!!｣
と声をかける。
2人は止まることなく、口を揃えて
｢叔父さん!!村の英雄のオードラス叔父さん!!｣
と言った。
グラニスは納得して頷いた。こんな光景前にもあったようなとキーオーは思った。去年もグラニスが同じ事聞いて、2人で同じ事言ってたっけ。
そんな事を考えながら小麦畑抜け、川を渡り、入り口に出た。
｢早かったな。｣
いつもなら叔父さんがそう言って夜明け前、馬車で村に入って来るのに今日は姿が見えない。
｢叔父さん、来ないな。｣
セイルが言った。今までこんな事はなかった。
その時、キーオーは考え始めた。叔父さんは前に自分で言っていた。
｢旅は危険だからな。｣
もしかしたら叔父さんの身に何かあったのかもしれない。そう考えると、不安になって、悲しくなって、考えたくもなくなった。
｢もしかしたら、都合で遅れてるのかも。｣
キーオーとセイルが諦めて帰ろうとした時、
｢キーオー!!セイル!!｣
と低く優しい声が聞こえた。2人が振り向くと、フードとマントをし、髭面に優しい顔の男の人が立っていた。
｢叔父さん!!｣
2人は声を揃えた。
｢一年ぶりだな。｣
叔父さんはいつもどうり笑っていた。
｢叔父さん!!今年はどこへ行って来たの?｣
キーオーは早速聞いた。1年間、その事で頭がいっぱいだった。
｢ブラン・ベイルに行って、世紀末の石板を見て来た。でも、この話はまた後でな。他のみんなにも会いたい。｣
キーオーとセイルは頷くと、3人は村へ向かった。

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