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クリスタルクラッシュ5―?

[396]  いっと  2010-05-26投稿
王都アギウスにあるトライス城の会議室。
そこではエリックの怒声が鳴り響いていた。
「何たる無様な事だ!保養所の警護を任せた精鋭たちが誰一人としてクリスタルを守れなかったとは!」
「申し訳ありません…」
アギールは唇を噛みながら、頭を地にこすりつけてエリックに謝り続けていた。
「しかもあそこには複数のクリスタルを隠していたのだぞ…それを奪われたとなれば、この城さえも危うい…」
エリックは忌々しげな顔で地面にひれ伏しているアギールを一瞥すると、
「もうよい!座れ!」
と、席につくように命じた。
「は…」
アギールは憔悴したような表情でゆっくりと立ち上がった。
「エリック様…」
エリックの斜め右の席に座る顎から白い髭を垂らした老人が、小さく手を上げた。
「何だ、サイファ」
「もう、お止めなされ。このような事は」
「何ぃ?」
エリックはサイファと呼んだ老人を睨みつけた。
「まだ西のアディムス川の治水事業も終わっておりませんし、北の鉱山開発も進んでおりません。クリスタル集めばかりに気を取られて王としての勤めをないがしろにされるのは…」
「うるさい!」
エリックはサイファを一喝した。
「俺は父上のできなかった事をやるんだ!それが嫌なら出て行け!」
「この宰相サイファ・アイゼンは先代エクリプス様よりこの国の政務を任された者にございます。出て行く事はエクリプス様、いや、この国に対する裏切りに等しき行為。それは出来ませぬ」
サイファは強く首を横に振って、言い放った。
「…ちっ」
エリックは舌打ちをして、椅子に深く腰掛けた。

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