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七日七晩の慟哭13

[342]  伯修佳  2006-08-27投稿
「…かれはおとこのまくらもとにたっていいました。おまえはたいへんはたらきものだから、たすけることにしよう。するとおとこはいいました…」
「熱心だな、宋之助。そうしているとまるで親子だ」
キースは―そう呼ばれている女は―男程頻繁には彼女の元へは来なかった。今では彼女は自分を認識したり、他者を判別する事が出来る様になっている。
女は二人に近づいて、男の手にある本を覗き込んだ。
「聖書か。子供向けにアレンジしたんだな」
宋之助は上司に恨みがましい目を向けた。
「たまにはご自分も教育されたらどうです?あなたは母親の様なものだ」
「そしておまえが父親か。なるほど、なかなか面白い設定だが、こいつはおまえの様な人間が教育しないと駄目なんだ」
「何故です」
キースは肩をすくめた。
「人間になるからだよ」
真意を図りかねて彼が黙ると、部屋の中に複数の計器の機械音がなだれ込んで来た。
「それは…一体…?」
「わからないか?こいつはこれから箱舟が目的地に辿り着くまで、我々以外誰にも自分が『鍵』である事を隠さなければならないんだ。知らなくていい事を掘り出そうとする輩は、この先必ず出て来るだろう」

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