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話の続きが作れない9

[455]  ひびりんの母  2010-05-28投稿
「…先ほど早く天国に行きたいとおっしゃってましたが」
もったいをつけながら話を進める。

「あの世にあるのは天国だけではございません」

にやり、と笑って子供を見ると、意味を理解したのか顔色を変えて首をふりながら、
『やだやだ!ぜっったい地獄なんかいかないからね!』
すでに泣きそうだ。

「…お客様。これはあの世の決まりでございます。人は皆お亡くなりになると必ず、神様と閻魔様の審判を受けなければなりません。そこで天国か地獄かを決められるのです」
『ええ〜…』
子供はかなり落胆しているようだ。

(そう簡単に天国に行かれてたまるか!せっかく話の盛り上がる場面だというのに!)

ついさっき、刺激が強すぎるのではと躊躇したことなどすっかり忘れ、再び暴走を始めた悪い母親。


「今はこちらでお待ちになって、お名前を呼ばれましたら第1会議室にお入りください。あ、お飲みものなどいかがです?」
『いいから早く先進んでよ!』
「そうですかあ?では○○○様、お入りください」
『トントン、しつれいしまあす』

「ふむ、ではそこに座りなさい」
神様といえば白髭のおじいさん、そんな乏しいイメージで、必死に声色を作ってみる。

『神様!?』
「ああそうじゃ」
とたんに子供の顔がぱあっと明るくなる。

『おおっきくって白くって、石でできてるんだよね?』

あるテレビゲームに登場した神様は、山のように大きく白かったが、事情があって石化していた。子供の大のお気に入りで、夕方そのゲームでひとしきり遊んだ後、夜はストーリーを寝物語にせがまれたっけ。おそらくそのイメージなのだろう。

「私語はつつしむように。これからおまえの審判を始める。天国行きと地獄行き、どちらがふさわしいか決めるのじゃ」
『○○○は何も盗んでないし、誰も殺してないし、大丈夫だよ?』

子供は警察に捕まるような行為こそが悪いことである、と考えている。法律で裁けない罪も立派な罪である、とは思っていない。

「いやいや、しかし友達をいじめたりはしておらぬか?お母さんに嘘をついたりはしておらぬか?」
『してないしてないしてないよ!』
「ほんとか?では証人として友達のほのちゃんをここへ」
『いやあ〜っっっ!!!』

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